1月26日(土)、サポートユニオンwithYOU(大阪府茨木市)で行われた「障がい者雇用の北摂自治体の取り組みを考える」という企画に参加してきました。
withYOUでは昨年(2012年)11月、大阪の北摂4市1町の自治体(高槻市・茨木市・吹田市・摂津市・島本町)に、障害者雇用の状況について公開質問を実施し、回答を得ました。その回答を分析し、意見交流をしようというのが今回の企画。
障害のある子どもの高校卒業後の進路を考えるひとつの材料として、ここで出た話を何回かに分けて紹介したいと思います。
さて、各自治体からの回答。
「今年度の庁内の障害者雇用率の障害種別(身体・精神・知的障害)ごとの割合は?」という質問には、以下のような回答でした。
今年(2013年)4月から、障害者の法定雇用率が国と地方公共団体は2.3%に引き上げられますが(民間企業は2.0%)、吹田市、島本町はすでに達成。他市も現在は届いていないものの、それに近い数字になっています。
注目すべきは、茨木市、摂津市、島本町では、雇用しているのは身体障害者のみで、知的障害者と精神障害者の雇用はゼロであること。これに対して、障害者の雇用問題とは、(雇用が難しいと思われがちな)知的障害者、精神障害者をいかに雇用するかの問題であり、改善していかなければならない課題だということで参加者の意見が一致しました。
「庁内で働いている知的障害者の職種は?」という質問には、高槻市は「公園美化作業員(公園の清掃業務)」、吹田市は「作業員(非常勤職員) 勤務の内容:公園の作業に関する業務」という回答で、両市とも公園の清掃作業に就いているようです。
「雇用率改定に向けての来年度の取り組みを回答ください」という質問には、高槻市が「障害者を対象とした採用試験を実施する予定である」、摂津市が「採用試験による雇用拡充」と回答。これらは前向きな姿勢といえますが、ただ、一定の障害者を排除するしくみになっているのではないか、という疑問が参加者から出されました。
この点について、ネット検索してみると、自治労障害労働者全国連絡会による「地方自治体における障害者の採用に関する調査実施結果分析報告書(案)」という資料が見つかりました。障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会の第6回(2012.7.8)に委員の西村正樹さんが提出されたものです。
全国の582の自治体(28都道府県320市203町31村)について調査した結果で、これによると、障害者枠(別枠・特別枠)の採用試験を実施していても、以下のような受験要件を設けている場合があるそうです。
・介助なしで職務が遂行できること:233自治体(40%)
・活字印刷物に対応できること:197自治体(33.8%)
・自力、介助者なしで通勤が可能であること:207自治体(35.8%)
・口頭での面接に対応できること:98自治体(16.8%)
こんな要件が課されていたら、“重度”といわれる障害者は、雇用されるかどうか以前に、受験することさえ拒まれていることになります。障害者を対象とした採用試験を行うといっても、それが差別的なしくみになっていないか、私たちは、その中身を厳しくチェックしていかなければなりません。
(この記事、次回に続く)