話題の本

教育基本条例に反対します

2012年7月16日 (月)

7/28(土) 大阪教育研究会例会 『橋下「教育改革」は、何をもたらすのか?』の案内

橋下教育改革への批判を中心にしながら、世界的な新自由主義的教育を批判していく研究会、『子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会』の例会案内をいただきましたので、転載します。

(以下、転載)
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会員の方はもとより、初めての方の参加も大歓迎です。
是非、参加していただき、一緒に議論を深めていきましょう。

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  子どもに「教育への権利」を!大阪教育研究会 例会のご案内

  □日時 2012年7月28日(土) 18:00~21:00 
  □場所 阿倍野市民学習センター  特別会議室 
         (地下鉄谷町線「阿倍野」下車、阿倍野ベルタ3階)  
 
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▼例会内容 
   (1) 橋下「教育改革」は、何をもたらすのか?

  (2)福島原発事故1年、
    子どもたちをこれ以上の被爆から守るために②

▼内容案内
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      橋下「教育改革」は、何をもたらすのか?                                  
教育基本条例の具体化が始まる大阪の教育現場から
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 3月大阪府議会で教育条例と職員基本条例が成立したことを受けて、大阪府教委は急
ピッチでその具体化作業を進めています。条例が成立するまでは、条文を巡る議論が中心でしたが、これからは子どもたちと教育現場に直結する具体的な政策が議論になっていきます。教育2条例・職員基本条例が様々な批判の高まりの中で採決されたことを考えれば、今後教育現場への具体化の段階で一層大きな問題や軋轢が生まれることは必至です。新たに出てくる矛盾に翻弄されるのが教育現場であり、子どもたちです。
 大阪府教委は、今年度を「条例の運用をスタートずる重要な1年」と位置づけ、3点の重点項目を設定しています。一つ目は、知事が主導することになった「教育振興基本計画」作成です。早くも橋下市長は、「府教委事務局と話しても解決できない場合には教育振興計画を利用する。そして今の大阪府の制度では教育振興計画案は府教委と協議をしても結着しない場合、最後は知事決定し、議会の同意を得て可決する仕組みになりました。」(5月5日ツイッター)と発言し、教育振興基本計画を利用した教育支配を推し進めようとしています。この教育振興基本計画にどのような教育理念や具体的な方針が書き込まれていくのか、今後の大阪の教育の根幹に関わる重要な問題です。
 さらに、2014年度からの府立高校での通学区域の撤廃の具体化、生徒の授業評価を取り入れた新たな教員評価制度の構築が課題としてあげられています。それぞれ、府教委の中に専門委員会やワーキンググループが設置され、議論が進められています。
 また、橋下市長の大阪市では、5月市議会で、大阪府条例を改悪したともいえる「教育行政基本条例」「職員基本条例」」が可決され、残る「大阪市学校活性化条例」も7月議会で可決されようとしています。大阪市の場合、条例を通してだけでなく、橋下市長の市議会発言や記者会見発言を通して、日常的に教育への介入が始まっています。その最たるものが学校選択制です。橋下市長は、市長選選挙マニュフェストに掲げていたこと唯一の根拠にして、学校選択制導入を迫っています。4月から5月に開かれた大阪市各区での教育フォーラムでは、橋下市長の思惑が外れ、圧倒的多数の市民が導入に反対・慎重な意見であることを示しました。しかも、学校間格差が拡大する、差別と偏見が拡大する、教育がテスト主義・競争主義へゆがんでいく、「障がい」のある子どもたちが共に学び共に生きるための教育環境が壊されてしまう、子どもたちの人間関係が希薄になる、地域と学区とのつながりが壊される、等々、きわめて現実的な危惧が続々とでてきました。それでも橋下市長は、自らが選んだ公募区長に、秋には導入を判断させようとしています。
 今回の例会では、教育条例の具体化の動きを集約し、大阪の教育がどのような方向に
向かおうとしているのか、議論していきたいと思っています。
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子どもに『放射線副読本』=『放射線PR冊子』で教えてはならない                                    
                  文科省は『副読本』を回収せよ
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 「福島の子どもたちをこれ以上の被ばくから守るために」の1回目として、「放射線副読本」批
判、「子どもに『放射線副読本』=『放射線PR冊子』で教えてはならない、文科省は『副読本』を回収せよ」が報告され、議論が行われた。
 まず、「放射線副読本」(以下、「副読本」)が、①福島原発事故後の深刻な放射能汚染と被ばくの危険性を否定し、放射線の有用性をPRするために、文科省が「日本原子力文化振興財団」に委託し、全国の小中高校に配布したものであること、②同財団は、経産省、文科省所管の財団法人で、理事を財界、電力会社、原子力産業、「専門家」が占めていることからもわかるように、原発安全神話のプロパガンダを行うことを目的とした「原子力村」の広報組織であること、③福島県教委は、子供がこれ以上の被爆を避けるよう指導すべき立場にあるにも関わらず、「副読本に沿って教えよ」「原発の是非に触れるな」と、原発と放射線の危険性について教えることを禁ずる指導を教員に対し行っていることが報告された。
 続いて、配られた「副読本」に即しての内容の検討・批判が行なわれ、「副読本」問題点として次の三点が指摘された。①「副読本」は、本文中では福島原発事故と放射能汚染の現状、被ばくの実態について全く触れていない。福島原発事故の結果、大量の放射性物質が放出され、子どもたちが、今なお、福島県を中心に極めて深刻な放射能汚染状況下におかれている現実、多くの子どもたちが非汚染地区に避難することもできずに、被ばくを強要され続けているという現実が存在しないかのように意図的に隠蔽され、被ばくが今後彼らに深刻な健康被害引き起こす危険性について否定している。② 「副読本」は放射線の危険性ではなく、逆にその有用性をPRするものとなっている。「放射線が身の回りに存在することを理解できるようにする」(教師用)ことからはじめ、放射線がCT(コンピューター断層撮影)など、暮らしや医療、産業で利用されていることについて詳しく描かれ、「いろいろな分野で放射線が利用されていることを理解できるようにする](教師用)など、「人間の役に立っている」ことが強調され、他方CTスキャンなどによる被ばくでガンが増えていることは伏せられている。③教師用解説で「100mSv以下ではガンになる明確な証拠がないことを理解させよ」と指示するなど、子どもたちが最も知らなければならないこと、自分たちが日常的に受けている低レベル放射線の危険性、取分け、飲食物等による内部被爆の危険性が否定されている。
  結論として、子どもの生命と健康の破壊に手を貸し加害者となることを拒否し、彼らが真に必要としている正しい知識を得られるようにすることこそが教育と教員の責務であり、子どもたちをこのような「副読本」で教えてはならず、「副読本」は即刻回収すべきであることが強調された。
 次回、7月28日には、「福島の子どもたちをこれ以上の被ばくから守るために」の二回目として、以下の内容を行う予定です。
(1)福島の原発事故による放射能汚染の現状と被ばくの実態、
(2)子どもたちの健康被害の現状と県健康管理調査の問題点
(3)福島の学校や子どもたちの状況

2012年7月 4日 (水)

7/8(日) 集会「学校選択制を考える」の案内

大阪市で導入されようとしている「学校選択制」。子どもたちが地域でともに学び、ともに育つ環境はどうなるのか? 障害のある子どもたちの保護者はいま、不安でいっぱいです。

学校選択制について知り、考えるための集会をご案内します。

(以下、主催者のメールから引用)
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大阪市では、教育基本条例の先取りとして、橋下市長の介入によって学校現場が大きく変わりつつあります。その決定的なものが学校選択制です。

大阪市内の各区で実施された学校選択制を考える教育フォーラムでは、選択制への反対・不安意見が圧倒的多数で出されています。

大阪市教委の熟議では、「通学区域を残す」ことを前提に、選択制を考えることでほぼ意見が一致し、自由選択に疑問を呈しています。

しかし、橋下市長は、9月頃には結論を出そうとしています。

改めて学校選択制が大阪の教育をどのような方向にもっていくのか、じっくり考えたいと思い、下記の集会を計画しました。

是非ご参加ください。

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<集会案内>

学校選択制を考える~選択制を廃止した杉並区の経験から~

◆7月8日(日)1:30~4:30
◆城北市民学習センター講堂(地下鉄谷町線関目高殿駅3分、京阪関目駅6分)
◆講師:長谷川和男さん (元杉並教員)
◆資料代 500円

◆[スケジュール]
13:30~15:00 長谷川和男さん講演
           学校選択制廃止を決めた杉並区の経験から
  (休憩)
15:15~16:30 大阪の現状の報告と意見交換など 

◆主催:「日の丸・君が代による人権侵害」市民オンブズパーソン
     リブ・イン・ピース☆9+25

<集会呼びかけ>

 大阪市の小中学校に橋下市長が導入しようとしている学校選択制。
 学校と地域のつながりが希薄になる、通学に時間がかかり子どもたちの安全が心配、いたずらに学校間の競争や偏見をあおってしまうなどさまざまな問題が指摘されています。長崎市、前橋市、東京都杉並区、多摩市など先行した地域で学校選択制を廃止したり見直す動きが出ています。
 橋下市長は9月までに結論を出すと言い、各区で住民との対話のフォーラムを開いていますが、大阪市民からは不安や反対の声が続出しています。大切な子どもたちで実験するわけにはいきません。「やったけどやっぱりあかんかった」ではすまされないのです。
 しかも「特色ある学校つくり」などと言いながら、市長は「学校選択制で選別にさらし、統廃合を促すしかない」と語り、“選ばれない学校”をつぶしていくことが目的であると明言しています。
 私たちは、東京杉並区の元教員長谷川和男さんを招いて学校選択制の実情についてお話を聞くことにしました。杉並区は10年前に導入されましたが、この春廃止することが決定されています。
 集会の前半では長谷川さんの講演、後半では大阪の教育現場の報告などを交えながら、大阪に導入された場合どうなってしまうのかを明らかにしていきたいと思います。
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2012年5月21日 (月)

まず、あるがままの存在を受けとめるところから~遅ればせながら、家庭教育支援条例(案)について

あっというまに撤回に追い込まれた、大阪維新の会・大阪市議団の「家庭教育支援条例(案)」。遅ればせながら、大阪市民のひとりとして、私も思うところを書いておきたいと思います。

条例案の全文は下記にありますので、ご覧ください。
http://osakanet.web.fc2.com/kateikyoiku.html

この条例案には批判の声があいつぎましたが、その多くは、「発達障害は親の育て方のせい」だとする見方が科学的、医学的にみて正しくないというものでした。確かに、この点は明らかに問題です。

しかし、それ以上に私が問題だと思うのは、発達障害を「予防」「改善」「防止」するという発想。条例案全体が、障害のある人たちをはじめ、世間一般のものさしから少しはずれた存在を「あるべきでないもの」として、矯正しよう、なくしていこうという考え方に貫かれていることです。

これって、おそろしい。かつてハンセン病患者の人たちが、各都道府県から患者をなくそうという「無らい県運動」によって、行政と市民の手で地域社会から追放され、療養所に閉じ込められた事実を思い起こさせます。

障害のあるパートナーと暮らし、また、学校の介助員として、ヘルパーとして、さまざまな障害のある人たちとかかわっている実感から言わせてもらえば、障害のある人へのサポートは、まず、その存在をあるがままに受けとめるところからしか始まりません。

それは、人権的にうんぬんというよりも、人間はひとりひとり多様というのが現実だから。93歳の教育研究者、大田堯(たかし)さんのことばを借りれば、「『みんなちがって、みんないい』ではなくて、そもそも、みんな、ちがっているのだ」ということ。この社会は、ゆっくり動く人も、ことばをしゃべらない人も、じっとしていずに動き回る人も、物事を覚えない人も、まとまった話をしない人も、ひとりの世界が好きな人も、機械を使って息をしている人も──いろんな人たちがともに生きていて、だからこそ、人の世は奥深くて、豊かです。

世の中はいろんな人たちで成り立っているのに、それを、ごく一部の“力の強い”人たちの理屈に合わさせようとするのは、非常におこがましいし、意味のないことです。私は、この条例案が今後、どんなに科学的な理論を持ち出して修正されたとしても、人間社会の多様性の豊かさを理解せず、世間一般のものさしからはずれた存在を矯正しよう、なくそうとする考え方そのものを認めることができません。

そして、この条例案のようなまなざしは、大阪維新の会の議員さんだけでなく、おそらく、条例案に反対した人たちも含めて、この社会には根強くあって、それが、障害のある人もない人も、みんなを生きづらくしているのだということを声を大にして言っておきたいと思います。

2012年4月21日 (土)

松井知事、私たちの声を聞いてください~教育2条例に対する障害当事者と保護者の意見(その4)

(その1) (その2) (その3) に引き続き、『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』が、大阪の教育基本2条例に対して、記者会見で発表した意見を掲載します。

今回(最終回)は、地域の学校と支援学校の両方を経験した保護者の立場から、支援学校を増設するよりも、地域の学校で障害のある子どもを積極的に受け入れてほしいという訴えです。

※文章のタイトルは、ブログ主の私がつけたものです。

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最初から支援学校に行きたいと思う保護者は、ほとんどいません

井村よしみ

 娘は、18歳で、最重度の知的障害があります。小中学校は、悩んで地域の学校に行き、高等部で支援学校に行きました。障害児のほとんどの保護者が、就学については、ものすごく悩みます。最初から支援学校に行きたいと思う保護者は、ほとんどいないと思います。では、なぜ、支援学校を選ぶのか?

支援学校の方が、
・ 同じ立場の子どもたちがいて、親子共々、肩身の狭い思いをしなくてもよいから。
・ 健常である子どもたちに迷惑かけなくてすむから。
・ 専門的なことをしてもらえると信じられているから。
・ 学習内容が楽しそうだから。

 けれど、私の娘が経験した地域の学校では、専門的といわれる学習もしてもらえたし、楽しい内容の授業も多くありました。そして、私自身が、入学時には気づかなかった子ども達同士の当たり前の関わりがそこにはあり、私自身が、子ども達からたくさん学びました。しかし、地域の学校に入学したけれど、しんどいからやっぱり支援学校に変わろうと思う、という話を聞くこともありました。それらは、地域の学校での先生方の障害に対する理解が不十分であることや、人員不足が原因なことばかり。

 また、支援学校に行ってからは、PTAの役員を行い、以下の課題があることに気づきました。
・ 支援学校卒業後に地域とどう関係をつくっていけばいいのか
・ 卒業後の事業所、および福祉施設や人材の不足。
・ 障害者の就労受け入れ。
・ 災害時の不安

 これらについて、ほとんどの保護者が不安に思っておられます。 

 これを聞いて、一般の方々は、どのように思われるのでしょうか? 支援学校が過密化となり、支援学校をもっと作る必要が出てきていますが、果たして、支援学校を増設することで、上記の根本的な解決となるでしょうか? しかも、建設運動をされているのは、一部の方だけです。保護者が願っているのは、結局のところ、わが子の過ごしやすい環境と、障害を、地域や社会でもっと理解してもらいたいということに尽きます。どうか支援学校を増設する前に、地域の学校がもっと積極的に障害のある子を受け入れたい!と示してください。支援学校に配置する人員を地域の学校に配置してください。また、娘の周りの子ども達が当たり前に対等に接してくれたように、一緒に過ごすことで、『障害』が、特別なことではないと理解できるはずです。障害のある人の理解を広めること、それが、公的な立場の人たちの役目であえると私は思います。

 理解が広がることで、福祉に携わる人は増え、障害者の雇用も促進されることでしょう。そして、地域でのバリアフリー化が進み、支えあいのしくみがもっとできるはずだと思います。

2012年4月17日 (火)

4/21(土)「どないなるねん!大阪の教育!① アメリカの現状と重ね合わせて大阪の教育を考える」の案内

大阪の教育2条例に関連して、茨木市で下記の学習会がありますので、ご案内します。

主催のサポートユニオンwithYOUは、吹田の退職教員の方々が中心になって立ち上げた地域ユニオンで、経済的に厳しい子どもや障害のある子どもの学習サポートにも取り組んでいます。

※サポートユニオンwithYOUのホームページ→http://www.withyou2011.com/

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【withYOUジャーナル】500円

どないなるねん!大阪の教育!① 
アメリカの現状と重ね合わせて大阪の教育を考える


斉可 尚代さん(毎日放送記者)

夕方の報道番組「voice」で取り上げられた「アメリカの落ちこぼれゼロ法」の取材を中心に、進行し始めた学区制の撤廃など大阪の教育を考え、大阪の未来図を提起してもらいます。

●4月21日(土)18:00~20:00

●サポートユニオンwithYOU (阪急茨木市駅3分ソシオⅡ)
 北改札口を出て、2階から西口へ。そのまま歩道橋を渡った先にあります。
 TEL/FAX 072-655-5415

Cci00006

2012年4月11日 (水)

松井知事、私たちの声を聞いてください~教育2条例に対する障害当事者と保護者の意見(その3)

(その1) (その2)に引き続き、『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』が、大阪の教育基本2条例に対して、記者会見で発表した意見を掲載します。

今回は、高校生、受験生の保護者の立場から、「定員割れ」の府立高校の統廃合に反対する声です。

大阪では「定員内不合格者は出さない」というのが原則になっており、選抜試験で点をとるのが難しい知的障害のある生徒も、一般の府立高校に入学し、あたりまえの高校生活を送っています。

「定員割れ」の高校は、子どもを切り捨てることなく、障害のある生徒をはじめ、さまざまな課題をもつ生徒たちを受けとめ、一生懸命に向き合っているのです。そうした高校こそがある意味、本当の“学校”ではないかと私は思います。

※廣木さんの文章のタイトルは、ブログ主の私がつけたものです。

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定員割れで合格、高校で得がたい学びをしています!

豊髙文滉の母・豊髙明枝

 息子・文滉は、高校一年生です。自閉症で、知的障害に与えられる重度の療育手帳を持っています。テストの点数を取ることは難しいのですが、昨年春「定員割れ」で全日制の府立高校に入学できました。同じ年齢の生徒達の中で息子は大きな学びをしています。

 実は、息子は養護学校(当時)小学部に入学しました。同じような障害を持つ子ども達と共に少人数できめ細やかな指導を受けることが望ましい、いえ、小学校で普通の子らと共に教育を受けるのは無理、と親が思ったからです。しかし、学童保育で同じ年齢の子ども達の中で社会性を身につけていく息子の姿を見て、親の考えが間違っていたことを知りました。また、養護学校に行っていると、地域でのつながりができません。周囲で誰一人息子を知る人はなく、このまま大人になれば「危険人物」となるだろうと思いました。地域の小学校に相談に行き、四年からそこに通うことになりました。転校して半月もすると、「ふみ君!」「ふみ君のお母さん!」と皆が声をかけてくれます。中学校も当然地域の中学校に進学しました。

 高校も同じようにと望んだところ、思いがけなく「定員割れ」で入学することができました。話しかけられても返事ができない息子ですが、先生やお友達は大好きです。体育大会でははじめてトラックを一人で走りました。ノートの上に書かれたひらがなや漢字、アルファベットを見て、その下に文字を書くようになりました。文化祭では、「ふみ君のサポートをしたい」と二人の生徒が申し出てくれ、一言だけ言えばよい司会の役にしてもらい、舞台に立つことができました。「どうして高校に来たのか?」と驚いておられた先生方も、「こんなことができた」と小さな進歩をとても喜んでくださいます。

 人の学びや成長はそれぞれだと思います。中卒で働く人も多かった昔と違い、今高校は殆どの子ども達が通うところ、大人になる前の大切な学びの場です。「定員割れ」の学校だからこそ進学できる子ども達もいるのです。ここで学びたいと思うものを受け入れる、そんな場を残しておいてください。そこからこそ、しなやかな強さ、レジリエンスというものが生まれ出てくるのではないでしょうか。「定員割れ」の人気のない学校に来る生徒達のために、先生方は力をこめて教育を行っておられます。未来の可能性をそこに感じてください。「定員割れ」の学校を大切にして、なくさないでください。

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文滉くんが書いたメッセージ

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みんなと同じように高校生活を送らせてやりたい

廣木道心(自閉症児の父)

 自閉症で知的障害のある私の息子は発語が少なく、視線が合わない落ち着きがない多動児でしたが、地域の小・中学校に通学しました。地域の学校を選んだ理由は、息子は同世代の健常の子ども達その次に続く子ども達の中で仲間を作り、その中で生きていくことが最善だと考えたからです。寿命で考えれば親や先生など支援者は残念ながら先に亡くなります。障害がある子ども達は健常者の理解や支援がないと生きていけません。その理解や支援にもっとも大切なものは、設備面や環境を整えること以上に、多様性の違いを認め合える同時代に生きる「仲間」の存在だと感じています。

 この春、息子は義務教育を終えます。学校生活の中で様々な出来事がありましたが、先生方にご支援頂きながら、子ども同士が相互に支えあう刺激や影響力の凄さも感じました。多動な息子を押さえつけず肩車して面倒みてくれた先生、漢字や足し算を一生懸命教えてくれた先生、運動会のリレーで息子の分を補って走ってくれた足の速い子、息子が描く絵をほめてくれた「いきいき」の先生や子ども達、中学でいつも一緒に通学してくれた子、教科の連絡を書いてくれた子、テストを息子の得意な絵でできるようにしてくれた先生、「おーちゃん(息子のこと)が、頑張ってるから私も頑張るねん」と言ってくれた子もいました。おかげで息子はとても落ちつき、成長し、学校が大好きになりました。そしてみんなと同じように高校生活を送らせてやりたいと思い、前期で地域の一番近い高校へ受験をしました。

 大阪には知的障害児の特別支援枠の高校が数校ありますが、私の地域からは遠くて息子が自力通学できないのと、3名の定員に毎年3~5倍の希望者が殺到し、とても入学できる見込みがありませんでした。

 知的障害児は学力がないために、定員割れの高校へしか入学できない状況です。ほとんどの子どもが高校生という人生の一番多感な時期に障害のある子ども達と接する機会がなく大人になっているのですから、障害者への理解がない社会になっていくのは当たり前です。幼少時・青年時代に障害者と関わらずに大人になったとき、この国の福祉のあり方をリアルに考えられる人がどれほどいるでしょうか?

 前期受験の当日はいつもより頑張っていた息子ですが、結果は不合格でした。しかし、みんなで結果発表を見に行くときに保育所から中学校まで12年間一緒だった男の子が同じ学校を受けていて、不安だったからか、お互いに肩を組みながら歩いていく姿を見ながら「地域で生きてきた絆」を実感しました。

 能力を伸ばすためには学力競争も一つの方法かもしれませんが、教育において子どもの成長時に欠かせない大切なものがあることを忘れてしまっては本末転倒です。それは多様性の中で互いに刺激を与え合うことで生まれる「思いやりの心」や柔軟な思考を有した「生き抜く力」であり、そのことが社会が不安定になり、自分本位の人間に陥りやすいときにこそ、お互いを支え助け合いながら困難に立ち向かう「折れない心」を育てていくことに繋がっていくと感じています。

 今、息子が後期で願書を出した普通高校は定員割れをしました。与えられたチャンスを生かして、またそこで相互にいろんな出会いと学びがあるでしょう。しかし今後、定員割れの学校を、ただ単に数字だけで判断し統廃合してしまうようならば、それは教育行政としてあまりにも短絡的で先見性がない軽率な思慮の浅さを感じてしまいます。

 最後に一人の障害児の親の立場として、息子が自分らしく障害の有無に関わらず、共に学び共に生きていける社会環境になると信じて、この先も「命ある限り」サポートし、親子でいろんなチャレンジをしていきたいと思います。またそうした想いは私たち親子だけのものではなく、障害のある子どもを持つ親にとっては潜在的にもっている社会全体への切なる願いでもあると感じています。そんな「命がけで生きている親子たち」のためにも、教育の在り方を今一度ご考察頂けますよう何卒宜しくお願い致します。

2012年4月 8日 (日)

松井知事、私たちの声を聞いてください~教育2条例に対する障害当事者と保護者の意見(その2)

(その1)に引き続き、『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』が、大阪の教育基本2条例に対して、記者会見で発表した意見を掲載します。

今回は、障害のある子どもの保護者の立場から、大阪市の小中学校で進められようとしている学校選択制への疑問と不安の声です。

いま大阪市内の各区で、学校選択制について学校教育フォーラム(意見交換会)が行われていますが、こうした“声なき声”もしっかり受けとめてほしいと思います。

※F・Sさんの文章のタイトルは、ブログ主の私がつけたものです。

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小中学校が地域コミュニティーの最後の砦

大阪市在住  F・S

 大阪の小中学校に、たくさんの障害の有る子が普通学級に学ぶのを、皆さんご存知でしょうか。私も我が子の知的障害に気付くまでは、まったく知ることはありませんでした。

 毎日同じ教室に学び、支援学級籍の子も、健常児もお互い自然によく知り育ちました。
我が子も本来なら社会適応の難しい重度の知的障害です。毎日楽しく過ごす中、みんなの中で適応能力を伸ばし、成長してこれました。

 その中でも忘れられない事がいくつかあります。保育所で他のお母さんが私の子の対応改善を求め、抗議して下さった事がありました。私はそれを知らずに、卒園近い日に耳にしました。人の優しさ暖かさに励まされました。そして地域の小学校入学も迷い無くできました。

 小学校時代では、子供が一人で出かけてしまって、大勢のお父さんお母さん警察のかたも夜遅く探し回って下さり、見つかった時はみんなで大喜びした事が有りました。元気に戻って来れほっとすると共に、地域の人の素晴しさに感動しました。小学校に通って本当に良かったと思いました。

 PTA主催の親子遠足では、車椅子の子をお父さん達何人もが持ち上げて下さり、段差も困る事無く、ジャングルジムの助けも万全で遊べました。見ている私まで嬉しくなったものです。後日たくさんの方が「楽しかったわー!」と言って下さったのも、忘れられない思い出になりました。

 他県の大災害を目の当たりにして、防災訓練にも参加しました。場所も子供の通う学校で、たくさんの地域の人達とも会え嬉しく思えました。

 こんな中、公立小中学校の学校選択制を検討していると聞き、驚きました。もし学校選択制でみな別の学校になれば、こんな地域コミュニティーは何処で得られるのでしょうか?

 大阪の様な都会では、小中学校が最後の砦だと思えてなりません。勿論障害の有無など、遥かに超えた問題です。そして子供や障害者こそ近隣地域での支援が必要になるのではないでしょうか!ぜひともこんな一面も考慮して、学校選択制や大阪のご検討を、お願いしたいと思っております。

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学校選択制は誰のため?

前田 美貴代

 私の息子は、肢体不自由で車イスに乗って生活をしていますが、現在地域の小学校に通っています。

 保育園の時、近隣の保育園を7~8件廻りましたが障害を理由に受け入れて貰えず、仕方なく隣の区の保育園まで通っていました。家が遠かった為、保育園以外ではお友達となかなか一緒に遊べませんでしたし、近所に知り合いもできませんでした。そのため、小学校に入る時はお友達が誰もいませんでした。

 しかし、地域の小学校に入ると登校や下校もお友達と一緒だし、帰ってからもお友達が遊びに来るようになり、息子の生活をより間近に見る事により子供たちの中で息子に対する理解が深まっていきました。そして、そのお友達が家族に息子の事を話してくれるようで、買い物などに行っても私が知らない子や大人に息子は声をかけてもらえるようになりました。そうして、今では地域の方々にも見守ってもらいながら楽しく過ごしています。

 しかし学校選択制になると、保育園の時の経験から地域との関係が薄くなってしまうのではないかととても不安です。

 それにこの問題は、障害児に限ったことではないと思います。

 今までは、地域のPTAなどで声をかけあって挨拶運動や見守り活動を行って子供たちを地域で守ってきました。しかし、選択制になる事でそれらがなくなるのではと、周りの保護者からも不安の声が沢山あがっています。何のために、誰のために学校選択制を導入しようとされているのでしょうか?むしろ、子供たちのためにはデメリットの方が多いのではないでしょうか?

2012年3月28日 (水)

松井知事、私たちの声を聞いてください~教育2条例に対する障害当事者と保護者の意見(その1)

『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』が、大阪府の教育2条例に対して、記者会見(3月19日の記事参照)で発表した意見を掲載します。

1回目は、脳性まひの障害をもち、地域の小中学校、府立高校で学んできた当事者、北口昌弘さんからの意見です。

北口さんのライフストーリーを通して、障害のある子どもは、他の子どもたちとの関係性の中でこそ、自立する力が養われるのだということがわかります。これは障害のある子どもだけでなく、すべての子どもについて言えることではないでしょうか。

大阪府で4月から施行される教育2条例が、こうした子どもたちの豊かな「ともに学び、ともに育つ」関係を破壊していくのではないかと、心配です。

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障害をもちながら地域で共に学び共に育ちそして共に生きること

大阪バリアフリーネットワーク代表 北口昌弘

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 私は、生まれた後の高熱とけいれんにより、脳性まひという障害を持ち、手足と言語が不自由になり、車椅子生活を送っている。

 私の両親は、私を一人の人間として育てたい思いがたいへん強かった。そのため私は、小学校から高校まで地域の学校に通った。ところが、地域の小学校に通えることが決まったのは、入学する前年の大晦日の頃だった。

 私が住む大阪府高槻市では、約40年前から地域の学校に障害児が通えるようになっている。しかし、私の母からの話によると、私が入学する小学校の先生の中に、私を入学させることに反対している先生がいたから、決定に時間がかかったようだった。そして私が入学しても、反対していると思われる先生から挨拶さえもしてくれなかったことがしばらく続き、気持ちがつらいときもあった。

 それでも私は、地域の小学校に入学して、自宅周辺に住む同級生と友だちになり、共に遊んだり、勉強したり、いじめなどの辛い経験をしたときも、精神的に支えてくれた。また、私が成長していくにつれ、様々な関心が生まれ、興味を持つことを選ぶことが出来た。友だちと虫取りに行って楽しむ経験は、地域の学校に通うからこそ体験することができる。

 そして、高校生になり、いじめなどで友だち関係が行き詰まり、でも自分がもつつらい思いをさらけ出すことができないことがしばらくあった。その中で、友だちや母親から自分の思いをまわりにきちんと伝えなければ、理解してくれる仲間を増やすことができないというアドバイスをうけて、我に返り自分の障害に向き合い、もがき苦しんだあげく、ようやく自分の思いを仲間に伝えることができた。そして、自分の思いをわかってくれる仲間ができて、学校生活を精神的に支えてくれた。

 このような経験を通じて、自分が重い障害を持つ人たちの代弁者になり、社会に障害者問題を主張して、障害あるなしに関わらず全ての人々が暮らしやすい世の中にしたい思いが生まれた。こういう志を持つことが出来たから、私は、大学そして大学院に進学することが出来た。

 もし私が、養護学校すなわち現在の特別支援学校に通っていたら、自宅の近くで友だちをつくることが出来なく、地域で孤立した生活を送っていたと思う。そして、自分の障害に向き合うことがなかなか出来ず、決められたレールを進むだけの人生になっていたと思う。

 このように、障害を持つ子どもが地域の学校に通うことにより、地域で孤立せず、多くの選択肢の中から、障害を持たない子どもと共に、学校生活での様々な場面において、興味や関心がある物事を選ぶことで、自己決定する力を養うことができる。すなわち、障害を持たない子どもによる支援を得ながら彼らは、自己実現することが大切である。このようなことを体験することが出来るのは、地域の学校の大きな利点であると私は考えている。

 私が地域の学校で学んだことの中で、生活に一番役立っていることは、自分ができないことを仲間など私に関わってくれる人に的確に説明できることであると考えている。現在は、地域の学校には介助員などサポートしてくれる方がいるけれど、私が学校に通っていた時は、介助員という制度がないので、同級生に身の回りのことを頼んで生活していた。小学校の間は、言語障害が重くて、私の思いがうまく伝わらなく、辛い思いをすることもあった。私が、中学生になり、自分で自分のことを言うときが増えていく中で、伝わりにくい言葉を別の言葉に言い換えて、話すことを母親が教えてくれてから、自分の思いを仲間に伝えやすくなった。

 高校生になって、入学してしばらくの間は、関わってくれる仲間が多かったけれど、時間がたつにつれて、だんだん少なくなり、私が孤立することもあった。それでも、私は、仲間に自分の生活のしんどさや辛さを知られたくない思いになっていた。

 その頃は、通学で母親がしんどくて送迎することが困難になっていて、そのことを仲間になかなか伝えられなかった。私が、高校へ行く目的は、仲間や先生に障害者のことを理解してもらうためなので、私が生活で困っていることを仲間に話して、手伝ってもらうようにしなければ、私が高校へ通う意味がないから、高校を辞めなさいと母親に言われ、大喧嘩したあげく、仲間に生活で困っていることを伝えると、下校の時に私の自宅前の階段を昇るのを手伝ってくれたこともあった。また、数学の勉強内容が難しくなって、母親のサポートが難しくなったときに、違うクラスの数学が得意な仲間に頼むと、自宅で数学の勉強を手伝ってくれたこともあった。

 現在は、地域の学校において、介助員が障害をもつ子どもの支援をしている。そのため、仲間にできないことを頼むことがなくなり、いつも介助員という大人の方が障害をもつ子どもの横にいるため、仲間どうしの関わりがやりにくくなっている。介助員が直接サポートするより、障害をもつ子どもが仲間にサポートのお願いをして、仲間がサポートをして、そのかたわらで介助員が見守ることが大切だと私は考える。もし、障害をもつ子どもが仲間にサポートしてほしい事をうまく伝えることができない場合は、介助員が代弁することにより、理解してくれる仲間が増えると思う。

 地域で生きることは、いろんな人との関わりになれることが大切なので、地域の学校に通うことで多くの仲間の出会いを通じて自分が苦手なことやできないことを受け止めて、支援して欲しいことを的確に説明する力を培うことができる。

2012年3月19日 (月)

教育2条例案をめぐり、松井知事に話し合いを要望

大阪府内123団体で構成する『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク』では、大阪府の教育2条例案(「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」)をめぐって、松井知事に話し合いを求める要望書を3月14日(水)、提出しました。

要望書は、障害のある子どもとその保護者の立場から、「学校選択制」「府立高校の統廃合」「支援学校の増設」について、問題点を指摘しています。

文末に全文を掲げますので、どうぞお読みください。

要望書の提出後、同ネットワークは府政記者クラブで記者会見を行い、保護者と障害当事者が意見を発表しました。その内容は今後、引き続き掲載していきます。

Img_05191_2
記者会見の様子(2012.3.14 府政記者クラブ)

Asahi20123151
朝日新聞大阪本社版 2012.3.15付

(要望書)
大阪府知事 松井一郎 様

「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク
(構成団体) 障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議
高校問題を考える大阪連絡会等 123団体(裏面に記載)

松井知事、私たちは「条例案」に危惧しています。

 私たちは障害があっても地域であたりまえに生きたいと願う、障害当事者および障害のある子どもとその保護者、支援者を中心とする大阪府内123団体の市民ネットワークです。私たちも大阪府民の一員です。
 私たちとの話し合いの場を早急に設けてください。私たちとの話し合いを持っていただけるかどうか、3月中にお答えください。話し合いの様子や結果は公表し、広く大阪府民に知らせます。

私たちが話し合いたいのは、次のような事がらです。

学校選択制について
子どもたちは地域校区の友だちと楽しく学校生活を送っていますが、学校選択制になることで、このような楽しい生活が奪われていくのではないかと心配と不安がいっぱいです。地域の学校がなくなったら障害のある子は遠くの学校に通うのは難しい、地域の子どもたちがばらばらの学校に行くことになると心の通い合う絆がなくなってしまう、などなど、障害のある子どもたち、親たちの不安はいっぱいです。

府立高校の統廃合について:
どんな障害があっても地域の小・中学校に近所の友だちといっしょに通ってきたら、ほとんどの同級生たちが行く府立高校へ通いたいと思うのは当然の気持ちです。知的障害のある生徒たちも定員割れで合格し、さまざまな経験をしながら高校生らしくなり、生きる力を身につけています。10年間も諦めずに門をたたき続けてやっと高校生になり、青春を取り戻している生徒もいます。定員割れの高校を統廃合でなくしてしまったら、障害がある生徒たちにとって数少ない高校への門が閉ざされてしまいます。

支援学校の増設について:
多額のお金をかけて支援学校の増設を打ち出されています。一般的には支援学校を増設することが障害のある子どもたちのためだと思われているようです。松井知事もそうお考えかもしれません。しかし子どもたち自身はもちろん、親もそんなことを望んではいません。地域の学校が障害のある子どもたちも不安なく楽しく通うことができるのであれば、だれが分けられた場がほしいと望むでしょうか?障害のある子に冷たい学校はどの子にも冷たい学校です。公立の学校を子どもたちみんなが「明日も行きたい!」と待ち望む学校にすることこそが、条例案の趣旨ではないのでしょうか?

「自立」と「競争」、「小中学校の留年制」などについても話し合いたいです。

■ 条例案は、子どもたちの幸せを祈って考えられたものだと思います。けれども、そこには子どもたち自身の声が反映されているでしょうか?残念ながら子どもには投票権はありません。子どもたちのためにと願う善意が空回りしているのではないでしょうか?
公立の学校で生活し学習する子どもたちの声を聞き取ることが施策の第一であるべきなのに、そこのところを抜きにした施策は当を得ているとは言えません。もったいない話です。

■ 障害を持つ親子の、本当の願いをぜひとも聞き取ってください。よろしくお願いします。

※ 2012年1月25日、府庁内で記者会見した時のまとめを添付します。

「『共に学び、共に生きる教育』日本一の大阪に! ネットワーク」連絡先
代表:鈴木留美子(すずき・るみこ)  
事務局:松森 俊尚(まつもり・としひさ) ※連絡先省略

2012年3月 5日 (月)

3/10(土)「子どもが危ない!どうする教育条例・原発 橋下さん・松井さんにひとことトーク」の案内

3月10日(土)に枚方市で行われる、「子どもが危ない!どうする教育条例・原発 橋下さん・松井さんにひとことトーク」の案内をいただきましたので、掲載します。

Canxio51

(チラシより)
3/10(土)
「子どもが危ない!どうする教育条例・原発 橋下さん・松井さんにひとことトーク」

枚方市民会館2階第6集会室[午後1時半~4時](出入り自由:資料代100円)

報告①大阪の教育未来図・アメリカの「先進例」から学ぶ
     ②「原発安全神話」教育批判(小中学校での教育現場から)
      リレートーク(市民・保護者・学生等どなたでも、言いたい事何でも)

 先日発表の教育条例案でも、教育計画は知事・市長が決定。高校の学区撤廃・三年連続定員割れは統廃合に。また橋下市長は小中学校の「自由選択」、大阪市内297の小学校のうち、101 校統廃合の方向を表明しています。学校のない地域とある地域との格差が拡大し、地域の機能そのものも失われます。「障害児」のみならず、子どもは地域のつながりの中で育てられるものではないでしょうか?

 府民・市民のみなさん。3月11日に私たちは東北大震災と福島原発事故から1年を迎えます。すでに広島原爆の168個分の放射能が拡散しているとのこと。しかし文部科学省や電力資本は原発は安全とする教育をあいかわらずすすめようとし、また大阪府・大阪市は放射能汚染のがれきの受け入れを表明。焼却による放射能のまき散らしの危険性すらあります。

 そして大阪では「都構想」や「教育改革」が鳴り物入りで打ち上げられ、進行しています。しかし私たちは現在の維新の会(代表橋下大阪市長)がすすめる「改革」の内容や手法に大きな疑問や不安を感じています。そしてそれに呼応する政界・財界の動きやマスメディアのあり方にも。今、橋下政治に対して自由に議論や批判をすることができない雰囲気もつくられているように感じられます。また橋下さんを支持する・しないにかかわらず、「選挙で選んだあの人にまかせておけばうまくやってくれる」というのでは、本物の民主主義とはいえないのではないかとも思います。

 そこで未来の社会を担う子どもたちに大きな影響を与える教育条例と原発・放射能の問題を中心に、橋下さん・松井さんに言いたい!市民の声を伝えたい!という思いをあつめ、発信する場をもちたいと企画しました。皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

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