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大阪府の教育

2024年3月28日 (木)

「4・27文科省通知」の撤回を大阪弁護士会が勧告!

2024年3月22日、大阪弁護士会が、いわゆる「4・27文科省通知」(2022年4月27日に文部科学省が初等中等教育局長名義で発出した「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」)に関して勧告を出しました。

勧告では「申立人児童らのインクルーシブ教育を受ける権利を侵害し、不当な差別に該当するおそれがある」として、この通知の中の「特別支援学級に在籍している児童生徒について、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において授業を行うことを求めている部分」を撤回するよう求めています。

これは、枚方市・東大阪市の子どもと保護者らが2022年10月31日に行った人権救済申立に応えたものです。

3月26日には、この勧告に関して、大阪弁護士会による記者会見が大阪弁護士会館で、申立人らによる記者会見が大阪府庁の大阪教育記者会で行われました。

重要なニュースですので、こちらに情報をまとめておきます。

【1】大阪弁護士会の勧告書原文

大阪弁護士会のウェブサイトから閲覧・ダウンロードできます。

【2】ニュース記事一覧(順不同)

NEW 【深層解説】特別支援教育巡る文科省通知に撤回勧告 論争の背景(教育新聞)

時代を先取っていた大阪「ともに学び、ともに育つ」教育 文科省通知は「不当な差別」弁護士会が撤回勧告(THE PAGE)

特別支援学級の児童めぐる文科省の通知…大阪弁護士会は撤回するよう勧告「障がいのある児童らが平等に教育を受ける権利を侵害している」(MBSニュース)

特別支援学級に通う児童は「週に半分以上は支援学級で」 文科省の方針は権利の侵害と弁護士会が勧告(関西テレビ)

「特別支援学級の児童分離は人権侵害のおそれ」 文科省の通知めぐり大阪弁護士会が撤回勧告 申立人の親子ら会見「お互いを認め合える環境で育ってほしい」(ABCニュース)

「障害児の教育分離は人権侵害」 弁護士会が文科省通知の撤回求める(朝日新聞デジタル)

「障害児の教育分離は人権侵害」 弁護士会が文科省通知の撤回求める(朝日新聞デジタル、有料記事)

特別支援児童の授業制限、撤回を 大阪弁護士会が文科相に勧告(毎日新聞)

週の半分以上を特別支援学級で受けるように求めた国の通知「人権侵害のおそれ」…大阪弁護士会が勧告(読売新聞オンライン)

文科省通知は「不当な差別」 大阪弁護士会が撤回勧告(共同通信)

【3】勧告に対して保護者と子どもたちからの声(3月26日の記者会見で発表)

1.
大阪府に暮らす住民として、支援級に在籍する子は1日のうちの半分以上を支援級で過ごすということが、大阪においては支援教育の後退になること、ともに学びともに育つの大切さを認めてもらえたこと、感謝しかないです。
全国の中で今まで1日中支援級で過ごすことになっていたところに関しても、その子その子個人個人のニーズに合わせて時間数は柔軟に対応してもらえるようになるといいなと思います。

2.
私はみんなの願いが届いて、全国の子供が一緒に楽しく通える学校で学べるよう一日も早くなることお願いしたいです。
誰もとりこぼされない社会になって欲しい。

3.
大阪弁護士会の皆様、撤回勧告をありがとうございます。
分けて特別な支援を、となると、障害のある子ども達とそうでない子ども達の両方から、お互いを知る機会を奪ってしまう事になります。
共に過ごす経験は、教科書では学べない、大切な事だと思います。
共に学び共に育つ、日本がそんな素敵な国になる為の大きな一歩では、と思います。

4.(15歳)
大人が色々決めてしまうのが疑問です。僕達は「普通教室」と「支援教室」を自由に行き来する権利があると思うし、子ども(本人)の意見をもっと聞いて欲しい。

5.
4.27通知は「共に学び共に育つ」から逆行してしまうと感じていたので、人権侵害だと認められて良かったです。
この通知では支援級の子供達だけでなく、子供達全員が「人の多種多様性」に触れる機会を奪われます。支援級から離された普通学級で教育を受けたきた私は「分ける教育に多種多様な人との出会い」を奪われた一人だと思っています。大人になっても障害者の方との関わり方に戸惑います。こんな大人を作らないでいただきたいです。
発達障害持ちの息子やその友人達は、同じ教室で共に学び共に育ってきました。彼らを見ていて感じるのは、他者を自然に受け入れられる寛容性や受容性は共に育つ中で培われるという事です。どうか「共に学ぶ共に育つ」場を守り続けていってください。

6.
この勧告文では触れられていないが、共に学ぶ事は、通常学級の子ども達にとってもたくさんの利益をもたらしているということにも目を向けて欲しい。

7.(6歳 新一年生)
寂しいし、一緒にいなきゃ遊べないし仲良くなれない。
でも、お友だちが「1人でいたい」って言うなら、寂しいけど仕方ないかな。

8.(摂津市 通常学級在籍児の保護者)
この通知によって、特別支援学級在籍の子どもは、特別支援学級時間数を週の半分以上になるようにしないといけないという圧が大阪府の自治体にかかり、子ども、保護者を苦しめていると思います。ぜひ、この通知の撤回によって、この圧から自治体を解放し、子ども、保護者に寄り添っていただきたいと思います。
現に、この文部科学省4.27通知で、令和5年度より支援級退級、通級指導教室に変わったお子さんもいますが、令和4年度より支援学級時間数が増え、より分けられたお子さんもいます。
そして、令和5年度より通常学級での特別支援学級の担任による入り込み支援がほとんどできない体制にもなっています。
通常学級での支援は、特別教育支援員でとのことですが、特別教育支援員や学習サポーターも財政面、人材の問題で必要な人数を確保できていなく、参観時など通常学級の保護者も通常学級担任だけでは難しい場面を目の当たりにしたりしています。
また、支援学級在籍の子どもが通常学級で学びたいと思っていても、通常学級での支援学級の担任の入り込み支援がほとんどなく、合理的配慮、支援が受けられないため、勉強が難しくなっているのもあると思いますが、しんどくなり、支援学級の時間が長くなっているお子さんもいると聞いています。
子どもが通常学級にいたいと思っていてもおれない環境、どうにかしてもらいたいと思います。
支援が必要な子どもの保護者が、特別支援学級、特別支援学校を求めているケースが多くなっているのは、我が子が通常学級でやっていける環境だと到底思えないのも要因の1つだと思います。
この文部科学省通知を受けて、通常学級での特別支援学級担任の入り込みはなく、一人で通常学級でやっていけると思う、子ども、保護者はほとんどいないと思います。
子どもの思いに寄り添える学校であってほしいと思います。
子どもの思いに寄り添える学校、それは、支援が必要な子だけでなく、通常学級在籍の子、すべての子供たち一人一人のニーズを踏まえた学びの充実に向けて、通常学級の在り方を模索していかないとどうしようもないところにきているのではないでしょうか?
通常学級在籍の子どもも今の通常学級での先生からの一斉授業を楽しんでいる子ども、退屈している子ども、授業についていけてない子ども、そもそもの環境でしんどい子どもなど、様々だと思います。
今までの先生からの一斉授業、枠にはまった環境などは、支援学級在籍、支援学校在籍の子どもが受け入れられないだけでなく、すべての子ども、それぞれの思いに寄り添えていないのではないでしょうか?
すべての子どもの思いに寄り添える学校、日本の教育であってほしいと思い、この文部科学省4.27通知が子どもに寄り添えているか今一度、考えていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

9.(申立人とそのお子さま)
皆さんのご意見に頷くことばかりです。以下は9歳ダウン症児の子どものコメントです。
「支援も3年2組も大好き。どちらか片方だけとか、少しの時間しか居られないとか、決められるのは嫌だ。支援と3年2組の両方に居たい。お友だちと一緒がいい」とのことでした。
ちなみに先週、体調不良で一日休んだら、「3年2組の友だちに会いたい、明日は学校行く」と涙目で言っていました。
子ども本人の気持ちを第一に、将来を見越した親や先生の意見も踏まえて個々に合った対応をしてもらえるシステムになっていってほしいと思います。

10.(枚方市の申立人)
従来枚方市(大阪府)で行われていた支援が適切であり、今回変更しようとしたことはインクルーシブ教育において逆行と判断がなされたことは、保護者である私自身が感じていたことと一致しており、そのように判断いただけたことを非常に嬉しく感じております。
それぞれの子どもにとって一番望ましい選択肢があることが、子どもの一番の成長につながると思います。現在の枚方市の進め方を見ていると、今後もそれが守られるか正直不安です。

2023年3月15日 (水)

回答を公開! 2023年大阪市長選 予定候補者への公開質問状 

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「わくわく育ちあいの会」が、大阪市長選挙(2023年4月9日投票)の予定候補者に回答をお願いした「インクルーシブ教育の推進」についての公開質問状、北野妙子氏、山崎敏彦氏、横山英幸氏から回答をいただきましたので、掲載します(掲載の順番は、早くいただいた順)。

※荒巻靖彦氏は、回答なし。安達真氏は連絡方法がわからず、質問状を届けることができませんでした。

※横山英幸氏の回答で、3月16日時点で質問3について「未回答」としていましたが、その後、FAXであらためて回答を送っていだたきましたので、掲載しました。また、質問1・2の回答についても更新しています。(2023年3月17日追記)

(以下、質問と回答)

1.大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育について

質問

 大阪では、約50年前から、どんな障害があっても校区の学校で受け入れ、障害のある子もない子も通常学級でいっしょに学ぶ「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきました。これは障害者権利条約がうたうインクルーシブ教育を先取りしてきた貴重な実践であり、この教育をさらに充実させることが、インクルーシブ教育の推進になると私たちは考えています。

 この大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育の実績をどう評価されていますか。そして、今後、この教育をどうやって充実させていこうとお考えですか。

回答

北野妙子氏 

大阪において「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきたことについては、高く評価し、インクルーシブ教育の先駆けとしてその先進性を誇りに思います。
障害の有無にかかわらず同じ教室で学ぶことは、障害のある子どもの学びの権利を守るとともに、多様性を認めあう価値観の 育みにも資することであり、共生社会の実現にむけての基礎となります。先人の取り組みの成果を受け継ぎ、「ともに学び、ともに育つ」教育をさらに推進していきたいと考えています。

山崎敏彦氏

私は大阪維新の会が進めてきた教育の中で、こんな素晴らしい取り組みがされていたことを、今回連絡を頂き初めて知りました。
さっそく大阪府教育委員会から平成253月に発行された~「ともに学び、ともに育つ」支援教育のさらなる充実のために~をプリントし、目を通させていただきました。

その中で、障がいを多様性とみなし、排除されることなく、ICFの考えを取り入れることで相互作用の中で起こる状態と考えるのは、理学療法士と同じ障がいの捉え方です。環境因子や個人因子が身体や心身に与える影響を考慮して、課題を乗り越えていく方法は、障がい者を受け入れる考え方としては最適と思います。
そして、幼稚園と小学校、小学校と中学校、中学校と高校、高校と大学と教育機関ごとの連携が本当に重要だと思います。

「ともに学び、ともに育つ」では様々な事例が記載してあり、連携時に役に立つ「個別指導計画」や支援学級と通常学級とをつなぐ支援教育コーディネーターの存在など、様々なモデルが示されており、地域にあったモデルを取り入れ、充実化していくことで、子どもの成長に相互効果をもたらす可能性があると思います。

ただし同時に、個人の能力を評価し、合わない環境の中で学ばせることのないように細心の注意を払う必要があると思います。
これは、障がいのあるなしに関係なく言えることで、例えるならオリンピックを目指すアスリートの中に、運動の苦手な人を入れて、同じメニューを無理に強要するようなものです。

ここをきっちりと見定めなければ、皆が不幸になる結果を招いてしまうことも頭に置いてインクルーシブ教育を導入する必要があると思います。

私は理学療法士という仕事柄、障がいを持った子供のリハビリも担当させていただき、子供のリハビリの進め方や親との関わり方などを学ばせていただきました。
その中で、障がいを持った子供に対するリハビリの重要性を実感しています。

ICFの考えに基づくと、リハビリは心身機能・身体構造の改善です。

ここに対して早期よりアプローチし、装具を併用することで拘縮や変形を少しでも防ぎ、運動をうながすことで成長の促進や脳への刺激入力など、様々な効果が期待できると考えます。

ここで、必要になるのは予算です。
私は、日本経済が復活するためには緊縮財政ではなく、財政拡大が必要と考えております。財政を拡大するうえで、予算を年金や障害福祉、リハビリ職や介護職の所得向上にも投入する方針です。

当然、インクルーシブ教育の導入に向けた予算の積極投入、さらには障がい児へのリハビリの拡充も進めていき、リハ職からの意見もインクルーシブ教育の評価に加え、充実させていきたいと思います。

横山英幸氏

 大阪市では平成28年に設置したインクルーシブ教育推進室を核として「ともに学び、ともに育つ」インクルーシブ教育の推進を行なってきており、その実績を高く評価している。そして今後も、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博の開催や、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すSDGsへの関心の高まりを好機として、障がいの有無のみに関わらず、ジェンダー、国籍、宗教など、あらゆる違いを認め合い、多様性を力に変えていくための基礎的環境整備を行うとともに、ユニバーサルデザインを取り入れた本市のインクルーシブ教育システムの充実と推進に取り組んでいきたいと考えています。

2.国連の総括所見の勧告について

質問

 昨年9月9日に国連障害者権利委員会から示された総括所見では、①分離された特別支援教育をやめるために、障害のある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、②2022年4月27日付の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を撤回すること、③すべての障害のある子どもにインクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること、などが「強く要請する」として勧告されています。

 総括所見でこうした勧告を受けたことを、どのように受け止めておられますか。そして、市長に就任されたあかつきには、これらの勧告にどう対応していこうとお考えですか。

回答

北野妙子氏 

子どものインクルーシブ教育を受ける権利が認められ、「ともに学び、ともに育つ」教育を追求することは当然のことと思います。大阪市では文部科学省の通知に関わらず、教育現場では可能なかぎり同じ教室で学ぶ教育が行われており、私としてもその方向性をさらに進めるという考えです。そのために、インクルーシブ教育を確保するための合理的配慮がなされるよう、教育現場をしっかりとサポートしていきます。

山崎敏彦氏

私は国連が全てだとは思いません。やはり、国連自体も各国の利害によって動いており、全てを国連にゆだねていれば、日本人の不利益にもつながる可能性があるからです。
やはり一つ一つの事例を考えて、従うべきは従い、従わない部分は理由を述べたうえで従わないでいいと思います。

今回の事案については、国連の勧告に対応してではなく、文科省の通知によって不利益を被る国民がいることに問題があります。

たしかに、この通知によりインクルーシブ教育が進んでない地域は利益を得る国民がいるのも確かだと思います。ですから、この通知自体を撤回するのではなく、
「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障がいの状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行う」に「但し、インクルーシブ教育の体制が構築され保護者、関係機関、学校との連携が図れたうえで、障がいの状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた上で半分以上必要でないと判断された場合は例外とする」と追記するべきと進言します。

横山英幸氏  

 支援教育は、障がいのある子どもの自立や社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うことで、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善、克服するものであるべきだと考えています。
 大阪市の教育現場では従来から「共に学び、共に育ち、共に生きる教育」を進めてきており、発達障がいを含む障がいへの理解を深め、障がいのある児童生徒が地域で学びやすい基礎的環境整備を行うとともに、ユニバーサルデザインを取り入れた本市のインクルーシブ教育システムの充実と推進に取り組んでいきたいと考えています。

3.久保敬氏の提言書について

質問

 2021年5月17日付で大阪市立木川南小学校の久保敬校長(当時)が大阪市長あてに送った提言書「大阪市教育行政への提言~豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」では、「子どもの『いのち』(人権)に光が当たっ」た教育、「子どもの人権を尊重し『最善の利益』を考えた社会」が志向され、「『生き抜く』世の中ではなく、『生き合う』世の中でなくてはならない」「『競争』ではなく『協働』の社会でなければ」と述べられており、これはまさに、いろんな人たちが育ちあい、支えあえるインクルーシブな学校、インクルーシブな社会への転換を訴えるものであり、この訴えには、多くの保護者、市民が共感しています。

 次期大阪市長をめざす立場から、この提言をどう評価されますか。また、市長に就任されたあかつきには、提言をどう生かしていこうとお考えですか。

回答

北野妙子氏

久保敬元校長の提言の内容は真摯に受け止めたいと思います。
子どもがテストによって競い合わせられた結果、ともに高め合う、支え合う教室ではなくなっているのではないでしょうか。教育現場も疲弊しているという声を聞きます。しんどい子ども、しんどい先生、しんどい親を支え、一人一人が大切にされるインクルーシブ教育が自然に行われるような環境をつくる必要があります。
私は、子どもたち、親たち、さまざまな立場にある当事者のみなさん、教師をはじめとする教育現場のみなさんの声を聞きながら、誰にとっても居心地のいい、誰もが積極的に意見を言える風通しのいい学校を、みなさんと一緒につくっていきたいと思っています。

山崎敏彦氏

今回の提言書は、現代における必要以上の規律やルールに基づいた書類作成やエビデンス中心主義、グローバル化やIT化への急速な対応によって、子ども個人の成長が置き去りになっていることに対する現場の声だと思います。
医療や介護の現場でも同様のことが起きており、結果や成果を求める政治家と、そこには表れない人間的な価値の部分を重要視する現場の対立を表した提言だと思いました。

そしてこれは、インクルーシブな教育にも当てはまり、書類や制度だけが先走り目に見える成果や評価だけを追うのではなく、子ども個人の成長に目を向ける必要があると思います。しかし、そういった成長は書類や成果に表れにくいものかもしれません。そういう意味で「ともに学び、ともに育つ」の冊子は、それぞれの事例を文書化することで、データーでは見えない部分も表すことができていると思いました。

これら目に見えない成果を否定せずに受け入れる、我々国民と社会がなければ、結果や成果を求める大阪維新の会に代表される政治家を生み出してしまうことも頭に置いておかねばなりません。

政治家を選んでいるのは我々大人です。
そして、学校でいえば一番の被害者は子供たちなのです。

「『生き抜く』世の中ではなく、『生き合う』世の中でなくてはならない」「『競争』ではなく『協働』の社会でなければ」
とありますが、昭和の時代は日本も生き合うが主流で、競争ではなく協働の社会でした。
価格競争で10円でも安い店で買い物することもなく、会社の取引も営業マン同士のつながりや企業の昔からのつきあいなどが重視され、価格が安いからといってつながりや付き合いを切り捨てる社会ではありませんでした。

しかし、バブル崩壊後、日本政府が緊縮財政をはじめ、予算の取り合いを行うようになってからは、国民の間でも「今だけ、金だけ、自分だけ」の考えがはびこるようになります。外国資本に日本を席巻されだすと、協調から競争へと教育制度も変えられていったのです。

つまり、現在の「今だけ、金だけ、自分だけ」の生き抜く競争社会の根底には、緊縮財政による日本人の貧困化と、「心のゆとり」のなさがあります。

私は政治家が一方的な価値観の押し付けにより、教育を変えることには反対です。
ましてや、早急に成果や結果を求めて、それが出なければ予算を削ることはしません。
そのための評価やアンケート、全国学力・学習状況調査も学力経年調査の分析も廃止します。
ホームページには、学校の先生と生徒からの生の声だけで十分と思います。

教育者は教育のプロです。プロである現場の声に耳を傾け、子どもたちの成長を助けるために必要なモノは何か、ともに考えて、子どもの成長を願い、現場の教師を支える行政運営を目指していきます。
そのために必要な予算は財政拡大により十分確保し、一人ひとりの子供がそれぞれに合った成長ができる「ゆとりのある教育環境」を教員とともに作っていきます。

横山英幸氏

 ご質問の提言については、提言公表のプロセスに関しては問題があったものと考えているものの、内容に関しては現場からの貴重な意見として受け止めるべきものであると考えております。
 市長就任後はかかる提言も参考にしつつ、多様な意見を取り入れ、大阪市が従来より進めてきた「共に学び、共に育ち、共に生きる教育」を一層推進していきたいと考えています。

回答を公開! 2023年 大阪府知事選予定候補者への公開質問状

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「わくわく育ちあいの会」が、大阪府知事選挙(2023年4月9日投票)の予定候補者に回答をお願いした「インクルーシブ教育の推進」についての公開質問状、谷口真由美氏、辰巳孝太郎氏、吉村洋文氏から回答をいただきましたので、掲載します(掲載の順番は、早くいただいた順)

※吉野敏明氏、稲垣秀哉氏、佐藤さやか氏には連絡をつけることができず、質問状を届けることができませんでした。

(以下、質問と回答)

1.大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育について

質問

 大阪では、約50年前から、どんな障害があっても校区の学校で受け入れ、障害のある子もない子も通常学級でいっしょに学ぶ「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきました。これは障害者権利条約がうたうインクルーシブ教育を先取りしてきた貴重な実践であり、この教育をさらに充実させることが、インクルーシブ教育の推進になると私たちは考えています。

 この大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育の実績をどう評価されていますか。そして、今後、この教育をどうやって充実させていこうとお考えですか。

回答

谷口真由美氏

 大阪の「ともに学ぶ、ともに育つ」教育は、お示しのように障害者権利条約(以下、「条約」という。)のインクルーシブ教育の先駆けであり、全国にも誇れるものだと評価しています。しかし、この大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育が後退していると感じていますので、すぐれた原点を再確認しさらにアップデートさせたいと考えます。

辰巳孝太郎氏

「障害者の権利条約」第24条においては、教育の目的を「障害者がその人格、才能、想像力並びに精神的及び身体的能力を可能な最大限度まで発達させること」「障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること」等を謳っています。
 一人ひとりの成長を最大限保障することを前提にして、誰ひとり排除されないインクルーシブ教育は重要だと考えます。そのためには、「誰ひとり排除されない教育」が重要であり、一人ひとりに応じた適切な合理的配慮が提供されなければなりません。
 それを実現するためには、通常学級の子どもの人数を20人程度の少人数学級にし、加えて複数担任制にするなどして、基礎的環境整備をおこなうことが重要です。ところが大阪府の教育政策では少人数学級に後ろ向きであり、その上「過度に競争的な教育」がすすめられています。そのため障害のある子どもたちを通常学級から事実上「排除」しているという実態もあります。競争的な教育の是正も喫緊の課題です。

吉村洋文氏

子どもたちの多様性に応じた、誰一人取り残さない教育の実現に力をいれていきます。大阪では、ご指摘にように原学級保障が普及しており、我が国においてもっとも先進的な教育を実践してきました。さらに特別支援学校も先進的に取り組んできましたが、その普及の後から決定した文部科学省省通知の内容と齟齬する部分もあり、今後10年間で同通知に適合させるべく、支援学校の新校設置をはじめとした支援学校の整備計画を進めます。

また、これまでも様々な課題を抱える生徒を多く受け入れ、特色ある実践を行ってきた府立西成高校、岬高校の二校を、教育実践モデル校とし、「ともに学び、ともに育つ」教育のより具体的で実践的な検討を進めようとしているところです。

そして今後も、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博の開催 や、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すSDGsへの関心の高まりを好機として、障がいの有無のみに関わらず、ジェンダー、国籍、宗教など、あらゆる違いを認め合い、多様性を力に変えていくための基礎的環境整備を行うとともに、「ともに学び、ともに育つ」教育の充実と推進に取り組んでいきたいと考えています。

2.国連の総括所見の勧告について

質問

 昨年9月9日に国連障害者権利委員会から示された総括所見では、①分離された特別支援教育をやめるために、障害のある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、②2022年4月27日付の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を撤回すること、③すべての障害のある子どもにインクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること、などが「強く要請する」として勧告されています。

 総括所見でこうした勧告を受けたことを、どのように受け止めておられますか。そして、府知事に就任されたあかつきには、これらの勧告にどう対応していこうとお考えですか。

回答

谷口真由美氏

 国連の障害者権利委員会(以下、「委員会」という。)から示された総括所見は、世界の潮流からもごく当たり前であり、妥当なものと受け止めております。
 委員会勧告の宛先は一義的には日本政府であるものの、そもそも障害は個人の問題のみではなく、外部に存在するさまざまな社会的障壁によってもたらされるものと考えています。そのため、これら社会的な障壁の除去・改変によって障害の解消を目指すことが可能であって、障壁の解消に向けての取組みの責任は障害のある人個人にではなく社会の側にあるとする「社会モデル」の考え方に依拠しますので、これらの考え方をあらゆる施策の土台に組み込み、アップデートさせたいと考えております。

辰巳孝太郎氏

 勧告は92項目にのぼり、日本が障害者権利条約を批准して8年たっても、障害児者に対する差別のない平等な社会の実現には程遠い現実があり、政府の真摯な対応を迫った勧告だと言えます。
 2022427日付、文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」のねらいは「特別支援学級の充実」などではなく、全国的に急増する特別支援学級を大幅に縮小し、教育予算を削減することにあります。
 特別支援学級での授業時数など画一的な基準で、特別支援学級在籍から学びの場の変更をせまることがあってはなりません。文部科学省通知の撤回を求めます。
 すべての障害のある子どもが適切な教育が受けられるよう、一人ひとりに応じた合理的配慮を保障するべきです。

吉村洋文氏

支援教育は、障がいのある子どもの自立や社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うことで、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善、克服するものであるべきだと考えています。

大阪府の教育現場では、従来から「ともに学び、ともに育つ」教育を基本とし、小中学校の支援学級、通常の学級、高等学校、支援学校等全ての学校において、障がいのある子どもの多様な学びの場の保障と充実に努めてきましたし、この基本方針のもと、今後もしっかりと取り組んでいくつもりです。

3.府立高校におけるインクルーシブ教育の推進について

質問

 大阪の府立高校では、知的障がい生徒自立支援コース・共生推進教室設置校のみならず、一般の高校でも重度障害のある生徒や知的障害のある生徒を受け入れてきており、高校におけるインクルーシブ教育が日本で最も進んでいるといわれています。ところが、2013年度以来の再編整備計画によって、障害のある生徒をはじめ、さまざまな“しんどい”生徒を受け入れてきた府立高校が次々と統廃合され、これまで蓄積してきたインクルーシブ教育の貴重な実績と経験が失われるとともに、障害のある生徒があたりまえに行ける地元の高校がなくなりつつあります。

 私たちは、障害のある生徒をはじめ、多様な生徒たちが学びあえる公立高校をつぶすことになっている再編整備計画は、見直しが必要だと考えています。この考え方に対して、どう思われますか。また、今後、高校におけるインクルーシブ教育をどうやって推進していこうとお考えですか。

回答

谷口真由美氏

 ②とも関連しますが、あらゆる段階の教育において、条約がうたう「合理的配慮」を保障し、ともに学ぶ中でそれぞれの人が必要とする支援を拡充することが必要です。
 そのことからも、多様な生徒が学び合える公立高校を統廃合することになっている再編整備計画には問題が多くあると考えます。
 条約はあらゆる分野において、障がいに基づくいかなる差別も禁止しているため、これを大阪府として進めることはしごく当たり前のことですので 、「ともに学び、ともに育つ」高校教育を実現するため、必要な施設整備と支援を進めていきたいと考えます。

辰巳孝太郎氏

 大阪府教育委員会は、「3年連続して志願者が定員に満たず改善の見込みがない高校は再編整備」と規定する府立学校条例と、少子化を理由に府立高校を減らす府立高校再編整備計画にもとづき、2014年以降の10年間に17校の府立高校(大阪市立高校含む)の募集停止を決定しました。しかし、そもそも公立高校の役割は、高校で学びたいと願うすべての子どもたちに学ぶ場を保障することであり、その定員にはゆとりがあるのが当然です。定員に満たない高校を再編整備の対象とする条例の考え方は、公立高校の役割を否定するものであり、条例の規定は撤廃し、定員を理由にした高校つぶしを中止すべきと考えます。また、現在の再編整備計画は、学級定員40人を前提に試算を行っていますが、世界では1学級20人程度が標準であり、教育条件改善に向けて少人数学級化をすすめるべきです。そのことが、多様な生徒たちが学びあえるインクルーシブ教育の推進につながると考えます。

吉村洋文氏

後期中等教育における公立学校が果たすべき役割として重要なのは、公正性と卓越性の両立、多様性の尊重であると考えています。そのために、支援学校の存在はもとより、自立支援コース、通級指導教室などに取り組んできた経験から、さまざまな生徒が一緒に学び、誰もが意欲を持って自分の力を伸ばせる魅力ある学校の存在も重要です。『ともに学び、ともに育つ』多様な教育実践に取り組みます。また、すべての府立学校において多様性の尊重を重視していきます。

高校におけるインクルーシブ教育の具体的な方向性ですが、教育実践モデル校の教員を交えたワーキンググループでの検討内容として以下3つの軸を考えています。
①生徒のニーズに応えていく就学機会の確保
②生徒の多様性に対応した学習や支援機能の充実
③卒業を見据えた就職や進学の支援

この教育実践モデル校を先鞭として、多様な子どもたちが意欲的に学べる大阪の学校教育のあり方について考え、ますます前へ進めていきたいと思っています。

一方で、再編整備計画は、1万人単位で中学校卒業者数が激減してく状況、生徒数が減少 した学校における教員負担の激増、老朽化施設の更新に必要となる費用を考慮をすると、すくなくとも今後10年間は現計画のもとで着実にすすめていく必要があると考えています。

2023年3月 8日 (水)

2023 大阪市長選・大阪府知事選・高槻市長選 立候補予定者への公開質問状

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●大阪市長選挙 予定候補者:北野妙子氏、山﨑敏彦氏、横山英幸氏から回答をいただきましたこちら

●大阪府知事選挙 予定候補者:谷口真由美氏、辰巳孝太郎氏、吉村洋文氏から回答をいただきましたこちら

●高槻市長選挙 予定候補者松浪健太氏、吉本草蔵氏、浜田剛史氏から回答をいただきましたこちら 

私たち、市民グループ「わくわく育ちあいの会」では、このたびの大阪市長選挙・大阪府知事選挙(2023年4月9日投票)、高槻市長選(4月23日投票)にあたって、投票の判断材料とするために、立候補予定者のみなさまに「インクルーシブ教育の推進」についての公開質問状にご回答をお願いしております。

今後、いただいた回答は順次、このブログで掲載していきます。みなさま、ご注目ください。

以下、公開質問状の内容です。

大阪市長選挙 立候補予定者への質問

1.大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育について

 大阪では、約50年前から、どんな障害があっても校区の学校で受け入れ、障害のある子もない子も通常学級でいっしょに学ぶ「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきました。これは障害者権利条約がうたうインクルーシブ教育を先取りしてきた貴重な実践であり、この教育をさらに充実させることが、インクルーシブ教育の推進になると私たちは考えています。

 この大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育の実績をどう評価されていますか。そして、今後、この教育をどうやって充実させていこうとお考えですか。

2.国連の総括所見の勧告について

 昨年9月9日に国連障害者権利委員会から示された総括所見では、①分離された特別支援教育をやめるために、障害のある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、②2022年4月27日付の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を撤回すること、③すべての障害のある子どもにインクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること、などが「強く要請する」として勧告されています。

 総括所見でこうした勧告を受けたことを、どのように受け止めておられますか。そして、市長に就任されたあかつきには、これらの勧告にどう対応していこうとお考えですか。

3.久保敬氏の提言書について

 2021年5月17日付で大阪市立木川南小学校の久保敬校長(当時)が大阪市長あてに送った提言書「大阪市教育行政への提言~豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」では、「子どもの『いのち』(人権)に光が当たっ」た教育、「子どもの人権を尊重し『最善の利益』を考えた社会」が志向され、「『生き抜く』世の中ではなく、『生き合う』世の中でなくてはならない」「『競争』ではなく『協働』の社会でなければ」と述べられており、これはまさに、いろんな人たちが育ちあい、支えあえるインクルーシブな学校、インクルーシブな社会への転換を訴えるものであり、この訴えには、多くの保護者、市民が共感しています。

 次期大阪市長をめざす立場から、この提言をどう評価されますか。また、市長に就任されたあかつきには、提言をどう生かしていこうとお考えですか。

大阪府知事選挙 立候補予定者への質問

1.大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育について

 大阪では、約50年前から、どんな障害があっても校区の学校で受け入れ、障害のある子もない子も通常学級でいっしょに学ぶ「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきました。これは障害者権利条約がうたうインクルーシブ教育を先取りしてきた貴重な実践であり、この教育をさらに充実させることが、インクルーシブ教育の推進になると私たちは考えています。

 この大阪の「ともに学び、ともに育つ」教育の実績をどう評価されていますか。そして、今後、この教育をどうやって充実させていこうとお考えですか。 

2.国連の総括所見の勧告について

 昨年9月9日に国連障害者権利委員会から示された総括所見では、①分離された特別支援教育をやめるために、障害のある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、②2022年4月27日付の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を撤回すること、③すべての障害のある子どもにインクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること、などが「強く要請する」として勧告されています。

 総括所見でこうした勧告を受けたことを、どのように受け止めておられますか。そして、府知事に就任されたあかつきには、これらの勧告にどう対応していこうとお考えですか。 

3.府立高校におけるインクルーシブ教育の推進について

 大阪の府立高校では、知的障がい生徒自立支援コース・共生推進教室設置校のみならず、一般の高校でも重度障害のある生徒や知的障害のある生徒を受け入れてきており、高校におけるインクルーシブ教育が日本で最も進んでいるといわれています。ところが、2013年度以来の再編整備計画によって、障害のある生徒をはじめ、さまざまな“しんどい”生徒を受け入れてきた府立高校が次々と統廃合され、これまで蓄積してきたインクルーシブ教育の貴重な実績と経験が失われるとともに、障害のある生徒があたりまえに行ける地元の高校がなくなりつつあります。

 私たちは、障害のある生徒をはじめ、多様な生徒たちが学びあえる公立高校をつぶすことになっている再編整備計画は、見直しが必要だと考えています。この考え方に対して、どう思われますか。また、今後、高校におけるインクルーシブ教育をどうやって推進していこうとお考えですか。

高槻市長選挙 立候補予定者への質問

1.高槻市の「ともに学び、ともに育つ」教育について

 高槻市では、約50年前から、どんな障害があっても校区の学校で受け入れ、障害のある子もない子も通常学級でいっしょに学ぶ「ともに学び、ともに育つ」教育が取り組まれてきました。これは障害者権利条約がうたうインクルーシブ教育を先取りしてきた貴重な実践であり、この教育をさらに充実させることが、インクルーシブ教育の推進になると私たちは考えています。

 この高槻市の「ともに学び、ともに育つ」教育の実績をどう評価されていますか。そして、今後、この教育をどうやって充実させていこうとお考えですか。 

2.国連の総括所見の勧告について

 昨年9月9日に国連障害者権利委員会から示された総括所見では、①分離された特別支援教育をやめるために、障害のある子どものインクルーシブ教育を受ける権利を認めること、②2022年4月27日付の文部科学省通知「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」を撤回すること、③すべての障害のある子どもにインクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障すること、などが「強く要請する」として勧告されています。

 総括所見でこうした勧告を受けたことを、どのように受け止めておられますか。そして、市長に就任されたあかつきには、これらの勧告にどう対応していこうとお考えですか。

2022年7月26日 (火)

大阪の「ともに学びともに育つ教育」が揺れている!~どうする「文科省通知」? 交流集会のお知らせ(8/20、枚方市)

※会場参加の方は、申し込み不要となりました。直接、会場にお越しください。(2022.8.15追記)

文部科学省が今年4月27日に出した「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」という通知をめぐって、交流学習会が枚方市で8月20日(土)に行われます。関心のあるみなさま、どうぞご参加ください。Zoomによるオンライン参加も可能です。

この通知を受けての枚方市教育委員会の動きについては、下記、枚方市のホームページもご覧ください。

今後の枚方市の支援教育について(お知らせ)
https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000045863.html

この問題についての学習会は、茨木市でも8月7日(日)に行われます。→詳しくは、こちら

(チラシより)

どうする「文科省通知」? 交流集会
大阪の「ともに学びともに育つ教育」が揺れている!

いま、児童・生徒、保護者たちも、学校の先生たちも、ひょっとしたら教育委員会の職員たちも混乱し、悩んでいます。

「文科省通知」は「特別支援学級に在籍する児童生徒は週の授業時間数の半分以上を、特別支援学級において授業を行なうこと」 などとするものです。
 枚方市では府内の他市に先駆けて5月6月に保護者あての説明文書を出して、説明会を開きました。一方的なやり方に、保護者たちが自主的なアンケートを取って市教委へ提出したり、市議会を傍聴したり、議員への要請行動など、活発な行動が取り組まれています。

枚方市教育委員会が保護者に説明した「今後の枚方市の支援教育について(お知らせ)」の主旨は、以下の様なものです。
これを(今のところ)「文科省通知」の具体化と考えてよいのかもしれません。

1)来年度、支援学級に在籍するならば、支援学級で5割以上授業を受ける。
2)通常学級在籍の場合、通級指導教室を使うこともある。(週に1~8時間)
3)来年度から市内全小・中学校に通級指導教室を設置する。
4)来年度の在籍をどこにするのか、1学期の懇談等で学校と相談する。
  ①通常学級籍を選び全ての授業を通常学級の教室で受ける。
  ②通常学級籍を選び通級指導教室の授業も受ける。
  ③特別支援学級籍を選び多くの授業または全ての授業を特別支援教室で受ける。

 他市でも今後、校長会や教職員、保護者への説明会が始まることが予想されます。文科省のねらいとは?大阪の「ともに学び、ともに育つ教育」に与える影響は?私たちの態度は? 交流集会を開催します。幅広いみなさんの参加を呼び掛けます。様々な立場から経験と知恵と力を出し合いましょう!

とき:2022年8月20日(土)午後1時30分~5時

ところ:ラポールひらかた 3階研修室1

協力費(会場、資料代など)300円

申込み:会場参加もZoom参加も8月18日(木)までに、以下に連絡を
・松森俊尚 matumori@crux.ocn.ne.jp(@を半角に変えてください)
・関山域子 携帯 090-2599-6162 Fax 072-844-9477

Zoom参加の方にはZoom入室のURLと資料を送らせていただきます。また、終了後に協力費の振込口座をお知らせします。

主催 知的障害者を普通高校へ北河内連絡会

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※チラシは、クリックしていただくと、拡大します。

2022年7月23日 (土)

ともに学ぶ大阪の教育がつぶされる?~4/27 文科省通知を考える学習会のお知らせ(8/7、茨木市) 

今年4月27日、文部科学省が全国の都道府県教育委員会、指定都市教育委員会などあてに出した「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」という通知が、大阪で取り組まれてきた「ともに学び、ともに育つ」教育を後退させかねないとして、波紋を呼んでいます。

そこで、この問題についての学習集会が8月7日(日)、茨木市で行われることになりました。関心のあるみなさま、ご参加ください。

なお、枚方市でも、8月20日(土)に「知的障害者を普通高校へ北河内連絡会」の主催で、この問題の学習会が行われる予定です。
→詳しくは、こちら

(チラシより)

障がいのある子もない子もともに学ぶ大阪の教育がつぶされる
~2022年4月27日付 文科省通知を考える~

◎文科省は「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について(通知)」を4月27日に出しました。通知は「特別支援学級に在籍する児童生徒は週の授業時間数の半分以上を、特別支援学級において授業を行なうこと」となどとするものです。

◎例年各市町村は9月上旬に、第1回目の通級指導教室と支援学級の設置計画を府に提出していますが、枚方市は、6月、保護者に『1学期末の懇談等で次年度の在籍について、学校の先生方とご相談ください』という案内を出し、茨木市は7月に「令和 5年度(2023年)就学相談シートを提出」と指導しているようです。

◎また、特別支援学級在籍生徒が特別支援教室で受ける「別の授業」科目の高校入試内申書(調査書)は、「 - 」表記になることの説明がなされています。

◎文科省通知と情報開示が進んでいる枚方市とを例にとり、通知が持つ問題点を明らかにし、本来めざすべき「ともに学ぶ教育」を考える学習集会を開きます。

2022年8月7日(日) 13時30分~16時30分

茨木市福祉文化会館2階会議室202

資料代 500 円(高校生以下、障がい者無料)

事前申込み必要(先着70名様)

〈プログラム〉
13:30~13:35 学習会の目的説明
13:35~14:35 文科省通知と枚方市の現状紹介
         報告:片岡次雄さん(障害者の高校問題を考える大阪連絡会〈代表 鈴木留美子〉)
14:35~15:05 問題提起(北摂各地の対応など)
15:05~15:20 休憩
15:20~16:20 ディスカッション(質疑応答・意見交換)
16:20~16:30 まとめ

※集会当日出た意見や質問を茨木市教委(可能であれば北摂他市の市教委)に、共催3者連名で質問書として提出する予定です。

4/27 文科通知概要
・通級による指導の対象となる児童生徒について、安易に特別支援学級を開設することは適切とは言えない
・交流及び共同学習として通常の学級で指導を受けることが継続するような状況は、実質的には、通常の学級に在籍して通級による指導を受ける状況と変わらず、不適切である
・特別支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を交流及び共同学習として通常の学級で学んでいる場合には、学びの場の変更を検討するべきである
・特別支援学級に在籍している児童生徒は、週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと
・特別支援学級において特別の教育課程を編成しているにもかかわらず自立活動の時間が設けられていない場合は、自立活動の時数を確保するべく、教育課程の再編成を検討するべきである

会場参加の事前申込み
お名前、連絡先、申込者の状況が分かる所属(できるだけ)を、下記に連絡ください。
越智清光(090-9709-4676) E-mail:withyou2011@mail.zaq.jp(@を半角に変えてください)

ZOOM参加参加 申込み不要 13:20以降にアクセス下さい。
トピック:8月7日文科通知集会
ミーティングID:818 6522 0616 パスコード:407330407330
学習会当日のチャットで、当日資料の一部を送ります。

共催
地域・校区で「障害児・者」の生活と教育を保障しよう茨木市民の会
教科書問題を考える北摂市民ネットワーク
サポートユニオンwithYOU

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※チラシは、クリックしていただくと拡大します。

 

2019年3月21日 (木)

学力テストの成績を先生の評価や学校予算に反映させる大阪市の方針に反対します

 この問題、市民一人ひとりが自分のことばで意見を言うことが大切だと思うので、私なりの意見を書いてみます。

ほかの市と順位を競うという発想がまちがっている

 子どもたちの学力を伸ばすことは大切だと思います。

 しかし、今回の方針は、そもそもの、全国学力テストの結果が政令指定都市で最下位だったから、そこから脱出しようという発想からまちがっています。

 だって、学力は子どもたち一人ひとりのものでしょう。大阪市全体の順位を上げるために、子どもたちががんばらないといけないなんて、おかしいじゃないですか。

 ほかの市と順位を競うという発想がまちがってるんです。次回、もし大阪市の順位が上がったとして、今度最下位になった別の市は、また最下位脱出のためにがんばるんですか。こんなの、どこまでいっても終わらないじゃないですか。

 今回の方針では「各学校に自校の偏差値を前年度から何ポイント上げるか目標設定させ」る(毎日新聞2019年1月29日付)そうですが、これ、学校に目標設定させると言っていますが、テストを受けるのは子どもたちですから、子どもたちに目標設定させるのと同じことですよね。

 子どもたちが学ぶ楽しさやわかる喜びを知って、その結果、偏差値が上がるのならともかく、先にこんな企業の営業ノルマみたいなのを課されて、それで楽しく勉強できるとは思えません。

テストで点数をとる力ばかり伸ばしてどうするのか


 そして、貧しいなぁと思うのは、今回の方針の中で言われている学力とは、結局、全国学力テストや大阪市の学力経年調査や大阪府のチャレンジテストで点数をとる力でしかないんですよね。

 学力って、もっと幅広く多様なものでしょう。

 大阪のまちづくりということを考えても、テストで点数をとる力ばかり伸ばして、どうするのかと思います。

 点数をとる人とともに、点数はとれなくても商売がうまいとか、点数はとれなくてもモノづくりが得意とか、点数はとれなくても人の気持ちに寄り添えるとか、点数はとれなくてもその人がいるだけで雰囲気が明るくなるとか、そんないろんな人たちがいてこそ、そのまちは強く豊かになるのではないでしょうか。

点数をものさしにして子どもを格付けするもの


 私が声を大にして言いたいのは、この問題は、子どもを主体にして考えないといけないということです。

 なぜなら、テストを受けて結果を出すことを求められているのは、市長でも、教育委員会でも、学校の先生でもなく、いま小・中学校で学んでいる児童・生徒たちですから。当事者は子どもたちです。

 当事者の子どもたちの側に立って今回の方針をみたとき、これは、先生や学校を査定すると言いながら、実は、子どもを査定するものなのだと気づきます。

 子どもにテストの点数をとらせたということだけで、その先生は価値が高いとして高評価をつけ、給料を上げる。テストの点数をとらせたということだけで、その学校は価値が高いとして予算を多く配分する。それはすなわち、点数をとる子どもは価値が高くて、点数をとらない子どもは価値が低いと言っているのと同じです。

 すべての子どもが等しく尊重されるべき学校教育において、こんなことはあってはならないでしょう。テストの点数をものさしにして子どもたちを格付けするのだと、行政のトップと教育委員会が堂々と宣言していることを、私はおそろしいと思います。

多様性のある社会を生きていくために必要な「学力」とは

 大阪市の小・中学校では、“最重度“といわれる子どもも含めて、さまざまな障害のある子どもたちが学んでいます。そのなかには、どれだけがんばっても、全国学力テストや大阪市の学力経年調査や大阪府のチャレンジテストで点数をとれない子どもたちがいます。そもそも、テストの対象から外されている場合もあります。

 そうした「点数をとらない」子どもたちを含んだ教育は価値が低いというのでしょうか。いや、そんなことはないはずです。

 障害のある子どもとその周りの子どもたちは、いっしょに過ごすなかで、人それぞれのちがいをあたりまえに認め合えばいいということや、コミュニケーションの方法はことばで話すだけでなく多様であることや、おたがいに「できない」ことがあっても助け合えばともに豊かに生きていけることなどを、身をもって学んでいます。

 こうした学びこそが、テストの点数にはつながらなくても、これからの多様性のある社会を生きていくために必要な「学力」なのだと思います。

 しかし、大阪市の今回の方針では、テストで点数をとることがいちばん価値のあることで、こうした学びは二の次でよいとしていることになります。それは教育の大切な部分を失わせてしまうのではないでしょうか。

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2019年3月15日 (金)

要望書への団体・個人賛同をお願いします~吉村市長と大阪市教委は、大阪市議会教育子ども委員会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求めます。

「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」からの賛同の呼びかけです。

大阪市が今回打ち出した方針は、これが実行されれば、大阪市の小・中学校の「ともに学び、ともに育つ」教育に悪影響をおよぼすと思われ、また、この動きは他の地域にも広がっていく可能性があります。

長文ですが、みなさま、どうかお読みいただき、要望書への賛同をお願いします。賛同は団体でも個人でもできます。しめきりは3月20日(水)までです。

なお、要望書の中に出てくる「陳情書」の内容はこちらで読めます。

(以下、子どもをテストで追いつめるな!市民の会からの呼びかけ)

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 要望書への団体・個人賛同をお願いします
吉村市長と大阪市教委は、大阪市議会教育子ども委員会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求めます。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 2月18日、教育子ども委員会で学力テストの結果を校長・教員給与などへ反映させることに反対する陳情書が自民・公明・共産・「いくの」の賛成多数で採択されました。教育子ども委員会の中で議員は、学力テストを校長評価・給与に反映することを厳しく批判しました。また、学力テストの結果を直接、教員評価・給与に反映しないとしても、校長を通じた人事評価によって、教員にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念を表明しました。さらに、講師不足や多忙化で教員が子どもに寄り添えなくなっている、学力低下を学校の責任にせず、まず教育委員会が責任を取るべきではないのかという厳しい指摘もありました。1月29日の大阪市総合教育会議の中で大阪市教委が提案した新方針に対して明確にノーの意志を示したのです。

大阪市教育委員会議で9回も審議しているにも関わらずその内容は全て非公開で、学校現場、保護者、子ども、市民に秘密裏に進めています。試行実施1が月前になっても制度の具体案が公表されていません。それでも吉村市長と大阪市教委は、4月からの試行実施をあきらめていません。

至急、吉村市長と大阪市教委に対して陳情書を尊重し、試行実施を撤回することを求めたいと思っています。
3月22日に要望書の提出行動を考えています。
それまでに出来るだけ多くの団体・個人賛同を集めたいと思っています。
ぜひ、ご協力をお願いします。

■下記の要望書への団体・個人賛同を呼びかけます。

◇団体賛同の場合
  団体名をお知らせください。

◇個人賛同の場合
  お名前
  お立場(教職員、保護者、生徒、学生、研究者、弁護士、市民など)
   できればで結構です。
  お名前の公表(インターネットを含む)の有無

◇締め切りは3月20日(水)

◇送り先
  メール iga@mue.biglobe.ne.jp(※@を半角に変えてください)
  FAX 06(6797)6704

◇PC・スマホ用署名ページ
https://web.user-page.jp/new_form/?prm=cd89552125%2C11-0583fb

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要望書

吉村市長と大阪市教委は、大阪市議会教育子ども委員会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求めます。

 2月18日、教育子ども委員会で学力テストの結果を校長・教員給与などへ反映させることに反対する陳情書が自民・公明・共産・「いくの」の賛成多数で採択されました。教育子ども委員会の中で議員は、学力テストを校長評価・給与に反映することを厳しく批判しました。また、学力テストの結果を直接、教員評価・給与に反映しないとしても、校長を通じた人事評価によって、教員にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念を表明しました。さらに、講師不足や多忙化で教員が子どもに寄り添えなくなっている、学力低下を学校の責任にせず、まず教育委員会が責任を取るべきではないのかという厳しい指摘もありました。1月29日の大阪市総合教育会議の中で大阪市教委が提案した新方針に対して明確にノーの意志を示したのです。

 大阪市教委方針は、校長・教員の人事評価にとどまらず、学校をテスト偏重にし、子どもたちをテスト漬けにしていくものです。最も被害を被るのは子どもたちです。すでに大阪市の中学校では、全国学力テストに加え、高校入試の内申点に反映される大阪府チャレンジテスト(中1・2・3)と大阪市統一テスト(中3)、各学期に行われる中間・期末テスト、英語力調査(英検IBA)、実力テストなど、他府県に比べて突出してテスト漬けになっています。授業はテスト時間を確保するために速く進められたり、通常の授業を削ってテスト対策授業が行われたりしています。全ての子どもに「分かる授業」を行うには丁寧さと丹念さが必要であるにもかかわらず、それと逆行することが起きています。
 小学校では、各単元テストに加えて、小学3年~6年生まで大阪市経年テスト(国・算・理・社)を実施しています。9歳の子どもたちから全国学テと同様の強い緊張感とストレスを与えています。小学3年生から毎年、4教科の学力テストを実施しているのは、大阪市と横浜市、京都市だけです。

 大阪市教委方針は、子どもたちに競争主義の価値観を浸透させ、障がいのある子どもも含め、ともに学びともに育つ教育、人権や共生を大切にする教育を弱めていき、そうした教育に取り組む余地を学校からなくしていくことになるのではないでしょうか。全国学テやチャレンジテスト・経年テストの学校正答率をあげるために、障がいのある子どもをテストから排除するケースが明らかとなっています。
 これほどまでにテストとテスト対策が増えている中で、自分たちのテストの結果が校長・教員の人事評価や給与、学校予算にまで反映されるとなると、子どもたちの不安やストレスはこれまで以上に高まることが考えられます。ここ数年、大阪市の小中学校では不登校率が全国と比べて高く、とりわけ中学校の不登校率は2017年度で5.1%であり、20人にひとりが不登校となっています。大阪市の学校が、子どもたちにとってますます息苦しい場所になり、その結果、不登校の子どもの数も増加すると考えられます。

 全国学力テストが始まって12年。全国学テの結果を巡る順位競争が激しくなり、自治体独自の学力テストも広がっています。学力テストの点数競争がますます熾烈化しています。
 このような状況の中で全国学力テストで上位にある福井県では、県議会で中学生の「自殺」を契機に「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」(2017年12月19日)を採択しました。その中では、「学校の対応が問題とされた背景には、学力を求めるあまりの業務多忙もしくは教育目的を取り違えることにより、教員が子どもたちに適切に対応する精神的なゆとりを失っている状況があったのではないかと懸念するものである。このような状況は池田町だけにとどまらず、『学力日本一』を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっていると考える。これでは、多様化する子どもたちの特性に合わせた教育は困難と言わざるを得ない。」と指摘しています。
 現在、都道府県・政令指定市において、独自の学力テストは約70%の地域で実施しています。しかし、2018年度から見直す動きが広がり始めています。長野県と奈良県で廃止、神奈川県と岐阜県(来年度以降は検討中)は休止、広島県はテストをやめ質問紙調査のみ実施、札幌市は毎年実施を数年に1度の実施へと。佐賀県では、2019年度から学校現場の負担を軽減するために廃止することを決めました。
 学力至上主義と競争主義の弊害が広がり、それを見直そうという動きが出てきている中で、大阪市教委の新方針は、独自の学力テストを全国学テと連動させ、その結果向上に邁進しようとしているのです。

 現在、吉村市長と大阪市教委は、今年4月からの試行実施、2020年度からの本格実施、2021年度からの給与反映の方針を変えていません。しかし、大阪市教委は、昨年8月の吉村市長の方針表明からすでに9回も教育委員会議で審議しているにも関わらず、2月下旬の段階でいまだに具体化できていません。そのうえ、この9回の審議は全て非公開で行われました。学校現場、保護者、子ども、市民に秘密裏に進めているのは、試行案が誰から見ても納得できないものであることを彼ら自身が自覚しているからです。にもかかわらず、吉村市長の強引な「とにかく全国学力テストの順位を上げろ!」という要求に応えるために、市教委は問題だらけの試行に突き進もうとしているのです。

 このような状況の中で教育子ども委員会で「陳情書」が採択されたのです。私たちは、大阪市教委が今回の陳情書採択を重く受け止め、新方針を撤回するよう強く求めます。 

2019年2月26日

■呼びかけ団体 
子どもをテストで追いつめるな!市民の会

2018年9月17日 (月)

9/25(火) 学力テストの教員評価・ボーナス反映に反対する集会実行委員会への参加の呼びかけ

このたびの大阪市長による全国学力テストの結果を教員の評価とボーナスに反映しようという方針は、大阪市の「ともに学び、ともに育つ」教育にも深刻な悪影響を与えると思われます。

現在、この方針に反対する集会が12月に企画されており、そのための実行委員会(9月25日)への参加が呼びかけられています。

呼びかけ団体からの呼びかけ文を下記に転載しますので、関心のある方はぜひ実行委員会にご参加ください。

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子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会の伊賀です。

今、大阪市の学校が重大な岐路に立っています。

吉村市長と大森特別顧問が中心となって、教育委員会を巻き込みながら学力テストの教員・校長の人事評価とボーナスに反映させる新たな教職員人事給与制度を作りあげようとしています。

このような人事評評価制度は全国にも例がなく、学校教育全体をテスト結果を指標に再編することをねらっており、このような学校教育からはじかれる子どもたちが生まれることは必至です。

私たちは、このような方針を何としてもつぶしたいと思います。

そのためには、大きな反対の声、世論がどうしても必要です。

以下の呼びかけに賛同して頂き、多くの皆さんが実行委員会に参加してくださることを訴えます。

<呼びかけ>
9月14日の大阪市総合教育会議では、8月2日に吉村市長が提案した全国学テを校長・教員の人事評価・ボーナスに反映させるとした方針について議論されました。大森特別顧問は、文科省から全国学テを教員評価・ボーナスに反映させることに慎重な意見が出ていることに対応してか、大阪市で実施している中1・2・3のチャレンジテスト、中3の大阪市統一テスト、小3から小6の大阪市経年テスト(大阪市版学力テスト)の結果を教員評価・ボーナスに反映させる案を提案しました。校長評価には、全国学テを活用することもあわせて提案しています。大森案は全国学テの活用を提案した吉村案以上に、学校教育全体をテスト結果の向上に縛り付ける内容でとなっており、学校への影響は極めて高くなると言えます。今後、大阪市教育委員会は、この大森案を軸に具体的な制度設計を進めるとしています。吉村市長と大森不二雄特別顧問が、慎重な教育委員を押し切った会議となりました。

吉村市長は、来年度から試行をはじめ、2020年度には本格実施、2021年度の給与反映を狙っています。従って、試行に向けた制度設計は今年中に行われる可能性が高くなっています。これほど教育を学力テストの結果向上のみにゆがめる政策は全国でも例がありません。早急に反対の大きな声をつくりだし、世論化することが重要になっています。

そこで、12月22日(土)午後に学力テストの教員評価・給与への反映に反対する大きな集会を開きたいと思っています。緊急ですが、そのための実行委員会を以下の日程で開催したいと思います。

この問題に関心をお持ちの団体・個人の皆さんの参加を呼びかけます。よろしくお願いします。

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

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学力テストの教員評価・ボーナス反映に反対!
12.22集会実行委員会(仮称)
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■日時 9月25日(火)20:00~21:00

   19:00~20:00までは教科書大阪連絡会の会議。ここから参加して頂いて結構です。


■場所 エルおおさか 南75

■呼びかけ 子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

■問い合わせ iga@mue.biglobe.ne.jp(@を半角に変えてください)

2018年8月14日 (火)

「学力テストの成績を先生の給与や学校予算に反映させる!?」~大阪市長の意向に対して、障害のある子どもの教育の観点から意見を言います。

いまChange.orgで呼びかけられているキャンペーン「大阪市は学力テストの結果をボーナス/学校予算に反映する方針を撤回してください」に賛同しました。

賛同するにあたって、フェイスブックに投稿した私の意見を以下に記しておきます。

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今回の大阪市長の意向には、いろんな観点からの批判が考えられますが、私は、ライターとして取材を続けている、障害のある子どもの教育の観点から意見を言いたいと思います。

大阪市の小・中学校では、さまざまな障害のある子どもたちが、障害のない子どもたちといっしょに学んでいます。

障害のある子どもたちは、その障害ゆえに、学力テストで点数をとるのが難しい子が多いです。また、そもそも、学力テストの対象から外されている場合もあります。

学力テストの成績をものさしにして先生や学校を評価するということは、そうした点数をとれない子どもたちに対する教育の取り組みに大きな価値を認めないということになると思います。

それ、おかしいんじゃないですか?

障害のある子どもたちは、学力テストで点数をとるのは難しいけれど、学校教育の中でいろんな可能性を発揮し、周りの人たちと関わって生きていく力を育んでいます。これは、先生たちの教育の取り組みとして評価されるべきことではないのでしょうか。

そして、障害のある子どもとない子どもがともに過ごすことで、子どもたちは、それぞれできないことはおたがい支え合えばいいということや、人は一人ひとりちがっているのがあたりまえで、知恵を出して工夫をすれば、ともに豊かに暮らしていけるということを学んでいます。

こうしたことこそが、これからのインクルーシブ社会を生きていくうえで大切な「学力」ではないでしょうか。それは、障害のある子どもも地域の学校であたりまえに学んでいる大阪市だからこそ営める教育のありかたで、市長には、学力テストの成績だけを見るのではなく、この教育の価値を大切にしてほしいと思うのです。

一方、今回の市長の意向を「優秀な教員が大阪から逃げる」という言いかたで批判することには、私自身は違和感があります。「優秀」「優秀でない」というものさしで人を格付けしようとする思想を超えなければいけないと思っているからです。

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