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2014年7月25日 (金)

知的障害のある生徒が公立高校で学ぶ取り組み「知的障がい生徒自立支援コース」「共生推進教室」とは?~『第23回 北摂「障害」のある子どもの高校進学を考える学習会』より

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7月19日(土)に島本町ふれあいセンターで催した『第23回 北摂「障害」のある子どもの高校進学を考える学習会』、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。

学習会の前半では、大阪府教育委員会支援教育課の島津邦廣さんが、知的障害のある生徒が公立高校で学ぶ大阪独自の取り組み、「知的障がい生徒自立支援コース」と「共生推進教室」の説明をしてくださいました。そのお話のあらましを紹介します。

島津さんが説明で使用したリーフレット『高等学校におけるとも学び、ともに育つ教育の推進』は、下記、大阪府教育委員会のホームページで見ることができます。
http://www.pref.osaka.lg.jp/shienkyoiku/jiritsu-kyousei/tomonimanabi.html

●「知的障がい生徒自立支援コース」と「共生推進教室」のちがいは?

・学籍がちがう。
 自立支援コース→高等学校の学籍。卒業時は高等学校の卒業証書が授与される。
 共生推進教室→支援学校の学籍。卒業時は支援学校の卒業証書が授与される。

・共生推進教室は、週1日、本校にあたる高等支援学校で職業に関する専門教科を勉強する。週4日は受験した高校で勉強する。

・上記の点以外は、自立支援コースも共生推進教室も、知的障害のある生徒が高等学校で学ぶ取り組みなので、クラブ活動も生徒会活動も学級活動も高校で行う。

・学籍が支援学校である共生推進教室の生徒も、高校の出席簿に名前が載っているし、ホームルームも高校で受ける。修学旅行も高校の修学旅行に行く。入学式・卒業式も高校のものに出席する(支援学校の入学式・卒業式にも出られるように日程調整してもらっている)。

●学校生活は?

・自立支援コースと共生推進教室で大きなちがいはない。

・学び方は、以下の4つのパターン。
 ①クラスで40人の中のひとりとして受ける(通常の授業)。
 ②同じくクラスの中で受けるが、教師やボランティアの学習サポーターがサポートに入る付き添いのある授業。
 ③自立支援コース・共生推進教室の生徒だけで受ける小集団の授業。
 ④1対1で受ける個別の授業。

 ※クラスの仲間といっしょに受ける授業は、自立支援コースで約7割、共生推進教室で約6割。

・クラブ活動は、自立支援コース・共生推進教室ともにクラブに入っている子は多い。野球部、水泳部、陸上部、卓球部、剣道部、美術部、吹奏楽部、バスケットボール部など。公式戦に出ている生徒もいる。共生推進教室は支援学校の学籍だが、公式戦は高校のチームのメンバーとして出る。

・生徒会活動は、生徒会の役員に立候補して活動している生徒もいる。

・PTA活動は、PTA会長が共生推進教室の生徒の保護者という例もある。生徒会活動もPTA活動も、高校の生徒会やPTAに参加する。

●成績評価は?

・「個人内評価」を基本に、本人のがんばりや努力をみながら成績をつけている。テストの点数がとれないという理由だけで進級できないということはない。

・ただ、テストの点数がとれなくて高校に呼ばれて指導されることは、よくある。自立支援コース・共生推進教室の生徒でも、一生懸命やって点数とれなかったのか、サボったのかはわかるから、サボったときは呼ばれる。

●卒業後の進路は?

・共生推進教室は、進学は難しい。知的障害支援学校の学籍なので、調査書が5段階評価の調査書ではなく、文章表記の調査書になる。評定が必要な推薦入試などは受験できない場合がある。

・自立支援コースは、6割近くの生徒が就職する。ただ正規雇用はなかなか厳しく、週30時間ぐらいのパート雇用からスタートして、少しずつ増やしていくという形が多い。大阪府の支援学校の卒業生の就職率は30%を少し切る状況だが、自立支援コースでは約60%、共生推進教室は今年は100%。

・自立支援コースの生徒は、就職以外にも、さまざまな職業訓練校や専門学校、短大に行った生徒もいる。専門学校は、調理師、アニメーショシ関係、スポーツインストラクターの専門学校などに行っている。

・自立支援コースと共生推進教室、どちらを選んだらいいかというと、多様な進路を考えているのなら自立支援コース、卒業してすぐに働きたいのなら共生推進教室という選び方が、ひとつの考えとしてあるだろう。

●応募資格は?

(1)大阪府内の中学校等を卒業見込みの者
 →「等」には支援学校も入っているし、民族学校も入っている。ただし、民族学校卒業見込みの人は事前に教育委員会との協議が必要。

(2)療育手帳を所持している者又は児童相談所等の公的機関により知的障がいを有すると判定を受けた者

(3)在籍する中学校校長等の校長の推薦を受けた者
 →選抜の資料として中学校の校長の推薦書が必要。だからといって、1校で1人しか出願できないわけではなく、同じ学校から2人、3人出願してもかまわない。

(4)自主的な通学が可能で、ともに学ぼうとする意欲のある者
 →「自主的な通学」とは、支援学校とちがって、通学バスがないという意味。けっして、ひとりで通ってくださいという意味ではない。保護者の方が送ってきていただいても、さまざまなサービスを利用して送ってきていただいてもOK。

 →「ともに学ぼうとする意欲」、ここが自立支援コース・共生推進教室のポイント。周りの子といっしょに高校生活を送って、いっしょに成長していくということが前提になっている。うちの子だけ全部一対一の授業をしてくださいというような取り組みではない。

●設置校は?

・自立支援コース:府立9校、大阪市立2校。

・共生推進教室:現状6校、さらに2校増(緑風冠、金剛)。

・共生推進教室は週に1回、高等支援学校で学ぶ。
 とりかい高等支援学校(摂津市):千里星雲、北摂つばさの生徒。
 たまがわ高等支援学校(東大阪市):枚岡樟風、金剛の生徒。
 すながわ高等支援学校(泉南市):久米田、信太の生徒
 北河内の高等支援学校(枚方市、村野中学校跡地に27年4月開校予定):緑風冠、芦間の生徒。

●募集人員・倍率は?

・1校1学年で定員3人。

・倍率は平均すると、自立支援コースが約3倍、共生推進教室が約2倍。学校によってかなりの差があるので、進路の先生などと相談して調べてほしい。

●選抜方法は?

・面接と調査書、推薦書。

・面接は、保護者同伴の面接。基本的には本人に対する面接だが、ことばで十分に説明できない場合は、代わりに保護者の方にお話していただくことも可能。

・いちばん大事なのは、自分が志望している学校のことをどれだけ知っているのか。その学校で何を学びたいのか。周りの子といっしょに何をしたいのか。中学校で周りの仲間と何をがんばってきたのか。そうしたことをきっちりわかっているかどうかがひとつのポイントになると思う。

・うまいことばでしゃべる必要はない。高校の面接官は、自立支援コース・共生推進教室の面接については非常に大事に思っている。うまく説明できなくても、その子のいいところを探そうと必死で面接している。

以上が島津さんのお話のあらましです。

島津さんは、9月13日(土)13:30~16:30の『第11回 「障害」のある子どもの高校進学を考える学習会』(ラポールひらかた3F研修室、主催:知的障害者を普通高校へ北河内連絡会)でも話をされます。興味のある方はご参加ください。

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