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2014年7月 6日 (日)

障害のある生徒もあたりまえに学んでいる大阪の公立高校

昨日(7月5日)、ひらの地域生活支援センター・時空想(ジグソー)で行われた「高校のはなし」という催しで、大阪における障害のある生徒の高校進学事情について話をさせていただきました。

そのときのレジュメをここに掲載しておきます。

大阪府の高校受験の最近の動きを追ってみると、障害のある生徒が入りにくい方向に進んでいる危険性を強く感じました。大阪で積み重ねられてきた高校における「ともに学ぶ」教育を後退させないよう、これからの動きを注視していかなければならないと思います。

情報に1点、誤りがありました。府立長吉高校が「現在は後期入試だが、来年度から前期入試に移行する」とお伝えしましたが、長吉高校は現在も前期入試でした。私の後で話をされた保護者の方に教えていただきました。おわびして訂正します(レジュメは訂正済みです)。

(以下、レジュメです)

2014.7.5 時空想セミナー「高校のはなし」
障害のある生徒もあたりまえに学んでいる大阪の公立高校

合田 享史(ライター、雑誌『ともにまなぶ ともにいきる』編集・発行人)

はじめに

●いま府立高校には、障害によって配慮を要する生徒が約2400人在籍(2013年度)

1 知的障害のある生徒が高校で「ともに学ぶ」ための特別枠がある

●知的障がい生徒自立支援コース(府立高校9校、市立高校2校)
●共生推進教室(府立高校6校→2015年度から8校に)
※1970年代からの「準高生」「交流生」の取り組みが生かされたもの

2 知的障がい生徒自立支援コースとは?

●設置校:園芸、阿武野、柴島、枚方なぎさ、八尾翠翔、西成、松原、堺東、貝塚(府立)
     桜宮、東淀工業(大阪市立)
●療育手帳をもつ生徒のための制度
●入試は学力検査はなく、面接と書類(調査書・推薦書)によって行われる
●定員は各校3人
●他の生徒たちと同じクラスに所属し、ともに学ぶ
 支援教育コーディネーターの教師がおり、「プレイルーム」もある
 生徒の状況に応じて入り込み授業、個別学習も実施

3 共生推進教室とは?

●設置校:千里青雲、北摂つばさ、芦間、枚岡樟風、信太、久米田(府立)
     (来年度から設置)緑風冠、金剛(府立)
●高等支援学校(たまがわ高等支援学校など4校)の分教室を府立高校に置く形(籍は支援学校)
●週4日は府立高校で他の生徒たちとともに学び、週1日は本校の高等支援学校に通う

4 他の生徒と同じように、一般受験で普通に進学している生徒も

●古くから、西成高校をはじめとする全日制高校や定時制高校・通信制高校に障害のある生徒が入学
●「定員内不合格者は出さない」という大阪府教育委員会の方針
 →テストで点数がとるのが難しい生徒も、定員割れの高校を中心に進学が広がっている

5 受験では障害の状態に応じた配慮が受けられる

●学力検査時間の延長、代筆解答、介助者の配置、英語のリスニングテストの筆答テストによる代替、拡大した問題用紙による受検、別室による受検、休憩時間の延長

6 公式書類に書かれている以外に、こんな配慮も…

●問題用紙と解答用紙を同一用紙に
●代読
●パソコン、音声入力装置、文字盤、携帯電話の文字入力による解答
●アイコンタクトによる解答
●控室にその生徒が落ち着くための物品の持ち込み
●教室を出て行っても、校内から出なければ、受験放棄と見なさない

7 入学してからの支援体制は?

●障害がある生徒がいるクラスを2人担任、3人担任にする場合が多い
●非常勤講師の配置
●学校生活支援員(有償ボランティア)の配置:学習支援サポーター、介助員

8 単位取得・進級はだいじょうぶ?

●「個人内評価」で評価、単位認定(大阪府教育委員会から府立高校に通知)

 「知識や技能の量的な習得面だけでなく、学習への関心や意欲、態度という側面、思考力・判断力の育成などについても十分な配慮を行い、日々の学習指導及び評価のあり方について工夫・改善することが大切です。特に、他者との比較ではなく生徒一人ひとりがもつ良い点や可能性など多様な側面、進歩の様子などを把握する個人内評価の視点を大切にすることが重要です」(大阪府教育委員会『府立高等学校に学んでいる障がいのある生徒の指導とサポートのために』)

9 大阪府の高校受験の新しい動き~障害のある生徒への影響は?

●後期入試(3月)の普通科の募集を、前期入試(2月)に一部(80人分)前倒し(2013年度より)
●学区撤廃→府内全域から選択可能に(2014年度より)
●「エンパワメントスクール」の設置(2015年度より)
・小中学校の学習内容の学び直しや社会人としての基礎力養成に取り組む高校
・習熟度別の少人数授業を実施。就業体験やマナー講座などキャリア教育にも力を入れる
・2015年度に西成、長吉、箕面東が移行(今後3年間で10校程度に広げる予定)
・選抜は面接と書類(自己申告書・調査書)重視
・前期入試で行われる
・倍率が高くなり、障害のある生徒をはじめ、課題を抱えた生徒が排除されていく可能性?

(これまで)
前期入試(2月)
・専門学科(工業系、商業系など)
・普通科の一部(80人分)
・知的障がい生徒自立支援コース・共生推進教室

後期入試(3月)
・普通科(西成・箕面東を含む)

(これから)
前期入試(2月)
・専門学科(工業系、商業系など) 後期入試(3月)
・普通科の一部(80人分)
・知的障がい生徒自立支援コース・共生推進教室
・エンパワメントスクール(西成・長吉・箕面東)

後期入試(3月)
普通科 ※西成・箕面東は前期に移行し、後期では受けられなくなる

●内申点を絶対評価に切り替え(2016年度より?)
 統一テスト(チャレンジテスト)の結果を内申点に反映→障害のある生徒の内申点はどうなる?

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