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2012年4月11日 (水)

松井知事、私たちの声を聞いてください~教育2条例に対する障害当事者と保護者の意見(その3)

(その1) (その2)に引き続き、『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』が、大阪の教育基本2条例に対して、記者会見で発表した意見を掲載します。

今回は、高校生、受験生の保護者の立場から、「定員割れ」の府立高校の統廃合に反対する声です。

大阪では「定員内不合格者は出さない」というのが原則になっており、選抜試験で点をとるのが難しい知的障害のある生徒も、一般の府立高校に入学し、あたりまえの高校生活を送っています。

「定員割れ」の高校は、子どもを切り捨てることなく、障害のある生徒をはじめ、さまざまな課題をもつ生徒たちを受けとめ、一生懸命に向き合っているのです。そうした高校こそがある意味、本当の“学校”ではないかと私は思います。

※廣木さんの文章のタイトルは、ブログ主の私がつけたものです。

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定員割れで合格、高校で得がたい学びをしています!

豊髙文滉の母・豊髙明枝

 息子・文滉は、高校一年生です。自閉症で、知的障害に与えられる重度の療育手帳を持っています。テストの点数を取ることは難しいのですが、昨年春「定員割れ」で全日制の府立高校に入学できました。同じ年齢の生徒達の中で息子は大きな学びをしています。

 実は、息子は養護学校(当時)小学部に入学しました。同じような障害を持つ子ども達と共に少人数できめ細やかな指導を受けることが望ましい、いえ、小学校で普通の子らと共に教育を受けるのは無理、と親が思ったからです。しかし、学童保育で同じ年齢の子ども達の中で社会性を身につけていく息子の姿を見て、親の考えが間違っていたことを知りました。また、養護学校に行っていると、地域でのつながりができません。周囲で誰一人息子を知る人はなく、このまま大人になれば「危険人物」となるだろうと思いました。地域の小学校に相談に行き、四年からそこに通うことになりました。転校して半月もすると、「ふみ君!」「ふみ君のお母さん!」と皆が声をかけてくれます。中学校も当然地域の中学校に進学しました。

 高校も同じようにと望んだところ、思いがけなく「定員割れ」で入学することができました。話しかけられても返事ができない息子ですが、先生やお友達は大好きです。体育大会でははじめてトラックを一人で走りました。ノートの上に書かれたひらがなや漢字、アルファベットを見て、その下に文字を書くようになりました。文化祭では、「ふみ君のサポートをしたい」と二人の生徒が申し出てくれ、一言だけ言えばよい司会の役にしてもらい、舞台に立つことができました。「どうして高校に来たのか?」と驚いておられた先生方も、「こんなことができた」と小さな進歩をとても喜んでくださいます。

 人の学びや成長はそれぞれだと思います。中卒で働く人も多かった昔と違い、今高校は殆どの子ども達が通うところ、大人になる前の大切な学びの場です。「定員割れ」の学校だからこそ進学できる子ども達もいるのです。ここで学びたいと思うものを受け入れる、そんな場を残しておいてください。そこからこそ、しなやかな強さ、レジリエンスというものが生まれ出てくるのではないでしょうか。「定員割れ」の人気のない学校に来る生徒達のために、先生方は力をこめて教育を行っておられます。未来の可能性をそこに感じてください。「定員割れ」の学校を大切にして、なくさないでください。

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文滉くんが書いたメッセージ

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みんなと同じように高校生活を送らせてやりたい

廣木道心(自閉症児の父)

 自閉症で知的障害のある私の息子は発語が少なく、視線が合わない落ち着きがない多動児でしたが、地域の小・中学校に通学しました。地域の学校を選んだ理由は、息子は同世代の健常の子ども達その次に続く子ども達の中で仲間を作り、その中で生きていくことが最善だと考えたからです。寿命で考えれば親や先生など支援者は残念ながら先に亡くなります。障害がある子ども達は健常者の理解や支援がないと生きていけません。その理解や支援にもっとも大切なものは、設備面や環境を整えること以上に、多様性の違いを認め合える同時代に生きる「仲間」の存在だと感じています。

 この春、息子は義務教育を終えます。学校生活の中で様々な出来事がありましたが、先生方にご支援頂きながら、子ども同士が相互に支えあう刺激や影響力の凄さも感じました。多動な息子を押さえつけず肩車して面倒みてくれた先生、漢字や足し算を一生懸命教えてくれた先生、運動会のリレーで息子の分を補って走ってくれた足の速い子、息子が描く絵をほめてくれた「いきいき」の先生や子ども達、中学でいつも一緒に通学してくれた子、教科の連絡を書いてくれた子、テストを息子の得意な絵でできるようにしてくれた先生、「おーちゃん(息子のこと)が、頑張ってるから私も頑張るねん」と言ってくれた子もいました。おかげで息子はとても落ちつき、成長し、学校が大好きになりました。そしてみんなと同じように高校生活を送らせてやりたいと思い、前期で地域の一番近い高校へ受験をしました。

 大阪には知的障害児の特別支援枠の高校が数校ありますが、私の地域からは遠くて息子が自力通学できないのと、3名の定員に毎年3~5倍の希望者が殺到し、とても入学できる見込みがありませんでした。

 知的障害児は学力がないために、定員割れの高校へしか入学できない状況です。ほとんどの子どもが高校生という人生の一番多感な時期に障害のある子ども達と接する機会がなく大人になっているのですから、障害者への理解がない社会になっていくのは当たり前です。幼少時・青年時代に障害者と関わらずに大人になったとき、この国の福祉のあり方をリアルに考えられる人がどれほどいるでしょうか?

 前期受験の当日はいつもより頑張っていた息子ですが、結果は不合格でした。しかし、みんなで結果発表を見に行くときに保育所から中学校まで12年間一緒だった男の子が同じ学校を受けていて、不安だったからか、お互いに肩を組みながら歩いていく姿を見ながら「地域で生きてきた絆」を実感しました。

 能力を伸ばすためには学力競争も一つの方法かもしれませんが、教育において子どもの成長時に欠かせない大切なものがあることを忘れてしまっては本末転倒です。それは多様性の中で互いに刺激を与え合うことで生まれる「思いやりの心」や柔軟な思考を有した「生き抜く力」であり、そのことが社会が不安定になり、自分本位の人間に陥りやすいときにこそ、お互いを支え助け合いながら困難に立ち向かう「折れない心」を育てていくことに繋がっていくと感じています。

 今、息子が後期で願書を出した普通高校は定員割れをしました。与えられたチャンスを生かして、またそこで相互にいろんな出会いと学びがあるでしょう。しかし今後、定員割れの学校を、ただ単に数字だけで判断し統廃合してしまうようならば、それは教育行政としてあまりにも短絡的で先見性がない軽率な思慮の浅さを感じてしまいます。

 最後に一人の障害児の親の立場として、息子が自分らしく障害の有無に関わらず、共に学び共に生きていける社会環境になると信じて、この先も「命ある限り」サポートし、親子でいろんなチャレンジをしていきたいと思います。またそうした想いは私たち親子だけのものではなく、障害のある子どもを持つ親にとっては潜在的にもっている社会全体への切なる願いでもあると感じています。そんな「命がけで生きている親子たち」のためにも、教育の在り方を今一度ご考察頂けますよう何卒宜しくお願い致します。

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