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2012年2月23日 (木)

教育基本条例(案)に対する、障害当事者と保護者からの声

「私たち抜きに、大阪の教育を決めないでください」

1月28日の記事でお伝えしたように、「教育基本条例(案)」をはじめとする大阪維新の会の教育政策に対して、障害当事者、障害のある子どもとその保護者、支援者を中心にした123団体で構成する『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク』が記者会見を行いました(1月25日、大阪府政記者クラブ)。

そこでの障害当事者と保護者からの発言を紹介します。

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私たち抜きに、大阪の教育を決めないでください。
─教育基本条例(案)に対する、障害当事者と保護者からの声─

■いつまでも私たちを排除するのか  
 入部香代子(障害当事者)

Img_3531_2  私は、小中学校に通うべき年齢の時に「就学免除」という形で、学校に行くことができず、義務教育を受けていません。25歳くらいまで、友だちが一人もいませんでした。25歳からは福祉の場や活動の中で友だちができましたが、それまでは、妹の友だちが家に来るとまとわりついていた程度で、地域の中で友だちづくりは一切やっていなかった。人間関係ができてあたりまえの時期に、関係ができていないわけです。
 そんなことから、1979年の養護学校義務化の時も、「なんで、障害児が校区の学校に行けないんだ」ということで、私たちは「普通学校で!」「校区の学校に行きたいんだ!」と主張し、「義務化」に反対もしてきました。そして現在、「教育基本条例」が出され、私たちを排除する動きがあることを多くの人が懸念しています。だからこそ、こういった場で障害者が声を出さないといけないと思うし、今日、集まってみなさん(記者)に話をしているわけです。障害者を社会が、そして教育があたりまえに受け入れてくれないと、いつまでも、死ぬまでこういうことを言っていないといけないのかと、悲しくなります。

■知的障害者が行ける高校がなくなる  
 新 美鈴(保護者)

Img_3534  娘はいま26歳で、10年間のブランクを経て、昨年やっと高校に入学しました。地域の保育所、地域の小学校、地域の中学校を出て、あたりまえに地域の高校を受験してきたんです。でも、定員オーバ-ということで、点数が取れない知的障害者の娘は排除されたままでした。点数の取れない娘にとって、高校は「狭き門」。「入れない」というのが現実です。やっと去年、10年目にして、定員割れしている府立大手前高校の定時制を受験することができ、やっと入学できたんです。知的障害者にとっては、定員割れした高校しかあたりまえに入学することができないんです。
 でも、維新の会は「3年間連続して定員割れした高校は統廃合の対象にする」って言われています。ということは、知的障害者は、ますます行く学校がないんですよ。「狭き門」が「もっと狭き門」になるんです。だから、維新の会に言いたいのは、「統廃合しないでください!」。弱い人間、点数を取れない人間だからこそ、学校に入れば、教科書にはないいろんな学びを、周りとコミュニケーションをとりながら経験していけると思うんです。それは、いま維新の会が大事にされているコミュニケーションということにつながるのではないでしょうか。「定員割れした学校を統廃合してなくなさないでいただきたい」と、声を大にして言いたいと思います。

■大阪の「共に学ぶ」教育は先進的  
 北村佳那子(障害当事者)

Img_3535 (北村佳那子さんの発言の後、母親の惠子さんより)
 娘はいま23歳、関西大学の聴講生です。もともと他県の支援学校小学部に1年間行っていましたが、小学2年生の時に大阪に転校してきて、地域の学校で学んできました。地域の学校に入ったとたん、目の輝きが全然違うんです。ものすごく元気になって、お医者さんから「脳細胞がウイルスに食べられていて、ほとんどない。生きるために必要な脳幹しかなく、どうなるかわからない。何もわからないよ」と言われた娘が、昨日も兵庫県の教職員組合に呼ばれて、大学のお友だちといっしょに講演をしてきました。
 この子は、みんなと学ぶ中で生きるすべを学びました。周りの子どもたちもそうです。娘が大阪市立中央高校の定時制に通った時、学校に来るのがしんどい子どもたちもいて、その中には「佳那が卒業する、いっしょに卒業しような」と、がんばって卒業した子もいます。小・中学校でもそうです。お家の事情が大変だった友だちが、「もうしんどいな~と思った時に、佳那が居てるから笑顔で過ごそうと思った。ありがとう!!」と卒業アルバムに書いてくださいました。「共に学ぶ」ということは、学力だけでなく、おたがいに人を思いやる気持ちを育てることだと思うんですね。
 維新の会の人たちは、今まで大阪で実践してきた「共に学ぶ」ということをしっかり受け止めていただき、さらに発展させていただきたいと思います。この子は、医療的ケアも必要です。私はフィンランドとイギリスに行ってきましたが、医療的ケアが必要な人工呼吸器をつけた子どもや、重度の知的障害をもつ子どもが地域の学校に行っている例は、世界でも少ないんです。その点、日本は、特に大阪は先進的です。そういう大阪の「共に学ぶ」教育を、ぜひ続けていってほしいと思います。

■地域の学校は防災拠点としても重要  
 山名 勝(障害当事者)

Img_3537  私は、大阪市の身体障害者相談員をしています。その関係から、福祉教育で学校に話をしに行く機会が多いですが、地域の学校には、地元の人たちから偏差値があまり高くないと思われている学校があります。ところが、実際に中に入って現場を見てみると、非常にすばらしい学校なんですね。総合教育とか、自分たちでテーマを見つけて学んでいくような姿勢を非常に大事にされていて、子どもたちがいきいきしています。管理されて、学力だけを重視している学校とは全くちがう。高校や大学に進学したり社会に出てからの将来の伸びしろを非常に感じさせる教育をされている学校があるんです。ところが、いまの学区撤廃や学校の統廃合の議論を見ると、そういう学校が「非常に危ない」という危機感をもっています。教育に関して、橋下さんはちょっとちがう考えをもたれているんじゃないか、非常に危ないなと感じています。
 それともう一点、地域にとって学校というのは、単に勉強をしに行く場ではなく、東日本大震災を受けて、避難場所や防災教育の重要な拠点であることが、あらためて認識されたわけです。地域と非常に密着度が高い学校がなくなってしまうと、いったいどうなるか?という視点からも、地域の学校を大事にすることが大切だと考えます。万一、大阪で災害が起こり、学校が避難所になった時、顔見知りの中学生たちが仲間意識で地域の人たちを積極的にお世話したりすることができなくなってしまうのではないか。そういう面の危機感も抱いています。学力の面だけでなく、そういうことも考えてほしいと思います。

■障害児を排除している制度を変えて  
 姜 博久(障害当事者)
 (障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議・執行委員)

Img_3538  維新の会が提案されている「教育基本条例」、そういった教育の流れが進めば、やはり、障害児がどこかで排除されるという危機感を僕たちは感じています。このままでいくと、大阪が誇りとしてきた「共に生き、共に学ぶ」教育が後退しかねない。僕自身、小学校・中学校は、いまでいう支援学校に行きました。高校になって地域の学校に行って、その時に強く思ったのは、「奪われた9年間を返してほしい」ということでした。いま僕は、障害をもたれた方の相談支援の仕事をさせていただいています。その中で思うのは、支援学校に行くと、本人も親も、この社会で生きることから遠ざけられてきた結果、いろんな意味で力を奪われている、孤独の中に追い込まれているということです。そんな人生を障害をもつ子どもたちに味わってほしくない。そんなことをさせる権利は誰ももっていないと思います。
 橋下さんが「大阪から国を変えたい」というのなら、現在、障害をもつ子どもを基本的に地域の学校から排除している仕組みをつくっている国の制度を変えるくらいのことを言ってほしい。それくらいインパクトのあることをやってこそ、これまでの大阪の障害児教育を橋下さん自身が本当に理解しているということだと思います。「共に学び、共に生きる」教育というのは、競争と相容れません。今まで大阪では、就学先の決定は本人や親の意思を尊重するという方針でやってきていますが、それでもやはり、がんばって「地域の学校へ行く」と強く表明しないと行けないですし、学校といろいろやりあって、やっと地域の学校に行けるという現状なんです。けっして「ウェルカム」、「どうぞいらしてください」という状況ではまだまだありません。ですから、本当に教育をよくしようと思うのであれば、僕たちのような障害者があたりまえに地域の学校にウェルカムされるような教育制度を作ってほしいし、「共に学び、共に生きる」教育で大阪をもっともっと活発化して、国の制度を変えるくらいの方向でやってほしいというのが、僕たちの願いです。

・本原稿は、2012年1月25日(水)、『「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク』が大阪維新の会への抗議声明とともに、大阪府政記者クラブで行った記者会見での発言をまとめたものです。

・抗議声明は、下記ブログに掲載しています。 
大阪発「ともに学び、ともに生きる教育」情報板
http://massugu.way-nifty.com/tomonimanabu/2012/01/post-271e.html

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