教育基本条例は「教育破壊条例」?~高橋哲哉さんの講演
9月24日(土)、『「君が代」強制大阪府条例はいらん! 全国集会』が大東市立総合文化センターでありました(主催:「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪 全国集会実行委員会)。今年6月に成立した「君が代条例」の撤廃と、大阪維新の会が9月府議会に提案中の「教育基本条例案」「職員基本条例案」の廃案を求めて催されたものです。
そこでの高橋哲哉さんの講演が、今回の「教育基本条例」がもつ危険性について、深く考えさせられる内容だったので、“新芽ML”から許可をいただき、報告記事を転載してご紹介します(明らかに誤字と思える部分のみ修正しました)。
(以下、転載)
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次に「発題」として、東京大学教授の高橋哲哉さんが「『日の丸・君が代』強制条例と『教育基本条例』の思想」という大変熱のこもった講演をしました。高橋さんは次のようなことを述べました。
大阪の「教育基本条例」は、東京や北海道を上回る <教育破壊の極み>である。橋下は「今の日本の政治に必要なのは独裁」だと言っている。ここに彼の政治観・権力観が表われている。これをそのまま教育の中に持ち込もうとしている。
今回の条例は、教育に対する政治介入の禁止を全く廃止し、政治支配を完全なものにすることだ。首長の権限を最大限解釈し、知事が目標を決定し、知事→教委→校長→教員と上意下達で末端へというやり方。教委以下はすべて知事の手駒・ロボットにすぎないものになる。
いかなる会議・場所においても、これに反する意思決定をしてはならない、とまで決めてある。
これは、維新と言いながら王政復古の詔(みことのり)のようなものだ。知事を天皇とした天皇制だ。天皇制的システムの維持・確立だ。
だから良心に従うものは排除される。不起立三回で分限免職。個人の良心は居場所がなくなる。これでは教育というものは成り立たない。
これには教育委員さえ反対している。いかに突出した<教育破壊>かということだ。
しかも、教員にとどまらない。保護者・地域住民をも支配しようとしている。貢献の努力義務ということで。そして、「社会通念上不当な態様で要求等をしてはならない」として、学校への要求は聞き入れない。
また「学校運営協議会」からは当該学校の職員を除き、府知事の「大政翼賛会」にしようとしている。
彼は「民主主義」の名で正当化しようとしている。命令に従わないものは「民意」に反すると言う。彼にとっては「民主主義とは独裁」である。これはヒトラーの独裁と同じである。そして、多数派を「民意」とし、少数派を根絶させる。
「教育基本条例」には教育現場の主人公の子どもたちの姿は見られない。教育現場のことについては、処分・処罰が3分の2を占める。教育を統治の対象としている。
子どもたちについては「人材」理念として①規範意識、②義務、③自己責任、④社会還元、⑤愛国心、⑥グローバル化に対応できる世界標準、が挙げられている。
①~⑤は「王政復古」が求める人材だ。⑥は国際競争力に勝つための人材だ。これは改悪教育基本法の2大目標を実現しようとするものだ。教科書採択の仕方まで校長に権限を持たせることで、「つくる会」系教科書を一気に導入することになるだろう。
橋下は「教育とは2万%強制」と言っている。これでは学校での勉強は「強制収容所の強制労働」のようなものになる。これでどのような人間になるのか。これは教育の破壊・破綻である。
生徒への「日の丸・君が代」を2万%強制し、「愛国心」を2万%で強制できるのか。愛が愛であるためには自由でなければならない。強制された「愛国心」は愛国心ではない。
「民主主義とは独裁であり強制である」(?!)、このような奇怪な思想で大阪の教育を破壊させてはならない!!
以上、高橋哲哉さんの講演の概要でした。
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(転載終わり)
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