豊中「インクルーシブ教育を考えるシンポジウム」レポート-4
レポート-3からの続きです。
超スローペースですが、自分の復習という意味もあって、詳しくまとめていきたいと思っています。息長くおつきあいください。
大谷恭子さんは、「ともに生き、ともに学ぶ教育」は、文部科学省が現在進めている「特別支援教育」では実現できない。障害者権利条約にのっとった「インクルーシブ教育」で行われなければならない、と主張します。
そして、「インクルーシブ教育」と「特別支援教育」のちがいを、以下のように説明されました。
○インクルーシブ教育
・(障害のある子とない子の)教育制度は原則統合し、必要な合理的配慮と必要な支援は統合した環境の中で保障される。 【統合+配慮+支援】
・社会が変わることによって、障害のある人とない人がともに生きることができるという考え方。 【社会の受け入れによる社会参加】
○特別支援教育
・(障害のある子とない子を)原則分離したまま、特別なニーズに応じて必要な支援をする。 【統合なき特別支援】
・社会は何も変わらないまま、障害のある人が一生懸命努力して社会参加していくという考え方。 【自己努力による社会参加】
続いて、現在の特別支援教育の問題点を具体的に指摘。
まず、特別支援教育における「支援」は、あくまで障害のある子とない子を分離することを前提にしており、普通学校でともに学ぶことに対しての「合理的配慮」や「支援」がとぼしい点です。
<普通学校と特別支援学校の学校教育費の格差>
子ども一人あたりの学校教育費(2005年度)をみると─。
・普通学校→中学校 103万円、小学校 89万円
・盲・聾・養護学校(現:特別支援学校)→870万円
と、特別支援学校で学ぶ子には、普通学校で学ぶ子の8~9倍の学校教育費がかけられている。普通学校で学ぶ障害のある子にも、必要な支援がなされるべきである。
<「特別支援学校への就学奨励に関する法律」の問題点>
「障害のある児童生徒等の保護者等の経済的負担を軽減するために必要な援助」として、国の補助で地方公共団体から保護者に支給される「特別支援教育就学奨励費」は、「特別支援学校」と「特別支援学級」に在籍する子にしか支給されず、普通学校の普通学級に在籍している障害のある子には支給されない。差別的な法律である。
<「特別支援教育支援員制度」の問題点>
2007年度から始まったこの制度は、普通学級にいる障害のある子にも支援員をつけるという、文部科学省の目玉政策。しかし、その現状は─。
東京で接したケースでは、支援員が行っているのは「学習の支援」のみで、「生活介助」(食事介助、トイレ介助)が行われていない。普通学級に入るには、食事やトイレが自力でできるのが前提とされていて、結局、母親が学校に来て介助している。
「学習の支援」でも、教室移動や、教科書のページをめくる手伝いはするが、その子は少し手を添えれば字が書けるのに、そうした意思表示の支援はしない。というふうに、支援員がついていても、できることとできないことが区分され、本来、必要な支援が受けられない状態になっている。
この「特別支援教育支援員」は、自治体によって配置率の格差が大きい。その不足する部分を誰が担っているかというと、すべて保護者に課せられている。
─このように、現在の特別支援教育は分離を前提としていますが、それでも、就学指導の実態(2008年度)をみると、就学指導委員会が特別支援学校「適」と判断した子6791人のうち、実際に特別支援学校に就学したのは5428人。1363人(20%)の子どもたちは、就学指導委員会の判定にもかかわらず、地域の小学校に就学しているそうです。
「就学指導をこえて、地域の小学校に入学する子は後を絶たない。普通学校で学びたいという潜在的ニーズ゙は高い」と大谷さんは言います。
(次回に続く)
※筆者注:もたもたやっているうちに、2月15日(月)、第3回障がい者制度改革推進会議が行われました。こちらで会議の模様がストリーミング動画で見られます。
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