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2013年2月24日 (日)

感動の涙におぼれて、怒りを忘れてはならない~マンガ『ひまわり!!』を読む

Himawari  

 読んでいて、やりきれない怒りがわいてくる。レディースコミック誌「BE・LOVE」(講談社、月2回刊)に連載中の『ひまわり!!』。作者は愛本みずほさん。

 このマンガは、知的障害のあるシングルマザーの子育てをテーマにした『だいすき!!』(香里奈さん主演でテレビドラマ化されたので、ご存じの方も多いだろう)の続編。障害のある母親(福原柚子)に育てられた娘、“ひまわり”が今回の主人公で、いま、障害のある人の家族の結婚問題を取り上げている。

 ストーリーはこうだ。

 スポーツクラブで働く福原ひまわりは、職場の先輩の新井優也から求婚されるが、自分の母親に障害があることをなかなか打ち明けられない。ひょんなことから、そのことが優也に知られてしまう。でも、優也はあたりまえに受け止めてくれて、思いは変わらないと言う。

 ところが、優也を女手ひとつで育ててきた母親が、結婚に反対する。「親が知的障害だなんて…」「産まれる子にも障害があったらどうするの!」「家族に障害者がいるってことは大変なことよ。どんな理不尽なことがあるかわからないのよ」…。

 そのことを知ったひまわりは悩み、母親の弟の妻、夏梅のもとを訪ねて、「結婚する時、不安じゃなかった?」と聞く。夏梅は「そんなことで揺らがないくらい、私が強くなろうと」思ったと話し、ひまわりは「私も強くなろう」と思う。

 反対しても息子の決意が変わらないので、優也の母親は、ひまわりに会いに来て、結婚をあきらめるよう迫る。それを聞いた優也は怒り、「母さんが許してくれないなら、オレは母さんと縁を切る」と母親に告げる。

 「あたしのせいで」と自分を責める、ひまわり。そんなとき、優也の母親が骨折して入院するが、優也は「オレは縁を切るって言ったんだ」と、会いに行こうとしない。でも、実は心配でたまらない優也の気持ちを思い、ひまわりは胸を痛める。

 ひまわりが実家に行くと、母親の柚子は、娘が結婚するというので有頂天。思い悩んでごはんものどに通らないひまわりに、うれしそうにウェディングドレスの話をする。ひまわりはつい、口走ってしまう。「もう、やめてよ。だれのせいで、あたしが…」。

 事情を聞いた柚子は、悲しい顔で「あたしの…せいだ…よね」と言い、「お母さんのこと、捨てていいよ」「お母さんがいたら、ひまわりはしあわせになれないでしょ。だから、お母さんはいないことにしていいよ」「ごめんね、ひまわり」と頭を下げる。号泣するひまわりと柚子。

 そして、一大決心をしたひまわりは、入院中の優也の母親の病室を訪ねるが…。

 ──というところで、最新話(2013年3月1日号掲載)は終わっている。

 このマンガは、あくまでもフィクションだ。しかし、現実にいまの社会で、障害のある人やその家族が結婚しようとするとき、よく経験することをリアルに描いているといえるだろう。

 だから、読んでいて、どうしようもなく腹が立つ。おたがいの合意にもとづく結婚なのに、なんで、障害のある側だけが一方的に負い目を負わされなけばならないのかと。

 親に障害があるというだけで、なぜ、当然のごとく結婚を反対されるのか!

 「産まれる子にも障害があったらどうするの!」って、障害があったら悪いのか!

 「どんな理不尽なことがあるかわからない」って、あんたがしていることが理不尽だ!

 どうして、障害のある人の側だけが「強くなろう」と思わないといけないのか!

 自分は何も悪くないのに、なぜ、愛情をこめて育ててきた子どもに「捨てていいよ」と言わなくてはならないのか!

 ここでよみがえってくるのが、私たち夫婦の結婚前、おたがいの親どうしが会って、上から目線をとり続ける私の親に、彼女の親が一生懸命に頭を下げていたときの居心地の悪さだ。本来、私の方が「娘はやれん」と言われたって、おかしくないのに…。障害のない側は、ただ障害がないというだけで、なんでそんなにエラそうにしているのか。

 ストーリーはおそらく、優也の母親が最終的に結婚を認め、みんなで泣くというハッピーエンドに至るだろう。マンガはそれでめでたし、めでたしだが、目の前の現実はどうか。感動の涙におぼれず、私は、ここで抱いた怒りをずっと燃やしていこう。障害があるというだけで、ふつうに結婚することさえ拒もうとするこの世の中に、ええかげんにせえよ!とツッコみ続けるために。そして、いつか、障害がある人の結婚がふつうの日常になって、マンガのネタにならない日がやって来てほしいと思う。

 このマンガで、心に深く残ったシーンがある。結婚をあきらめさせようとする優也の母親に「お気の毒」「かわいそう」と言われて、かちんと来たひまわりがこう言い放つ。

 「母は一人で私を育てられません。だけど、この世界のだれが一人で子どもを育てられるんですか? みんな何かを手伝ってもらいながら育てるんじゃないんですか? 私の母親は手伝ってもらうことが他の人より多かったと思います。だけどそれは恥ずかしいことですか!? 私はたくさんの人に助けられてここまで育ててもらいました。それは、私の誇りです。母も私も、哀れまれる筋合いはありません」

 いいぞ、ひまわり!! そのことばに、おっちゃんは勇気づけられたよ。

Himawari1

ひまわり!! それからのだいすき!!(1) (BE LOVE KC)

Daisuki1

だいすき!! ゆずの子育て日記(1) (講談社コミックスビーラブ (1166巻))

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障害のある妻との暮らし」カテゴリの記事

コメント

先日入籍報告をした「はなこ」です。

実は私も、彼と結婚を考えた時、もし子供が産まれたとき、
ちゃんと五体満足に産めるんだろうか…と思いました。

障害のない方から見たら「遺伝」と考えられる事が多いですが。。。

私の場合「遺伝性」ではないのですが、小さい頃には数えきれないほどの手術をしてきた分、成長期に何度もの麻酔・投薬をしてます。

…これって子供に影響ないの?って思うんです。

大人になって突然やってきた難病…

「向こう二年は子供をつくらないように」「5年後の命の保障は今のところ言えません」と言われた時期もありました。

その時はキツイ薬を飲んでた分そう言われたのですが、そういう経緯で「遺伝」関係なく不安があります。


私のお腹で育つ子供はちゃんと大丈夫なんだろうか???と・・・


そして出産自体、身体リスクがあります。

産婦人科の先生には、
「障害の面で、遺伝とかそういうのではなく、あなたの身体の状態が「切迫早産」しやすい身体です。」とは言われてます。

ちゃんと産んであげられないかも知れないのに、こんな私が妊娠して良いのかな…と思うんです。

もし仮に子供が出来たとして、その子の学校・参観日・思春期・交際・結婚…
私と言う存在がいつしか必ず重たく感じる時があると思います。

その時に私は精神的に強くなっていられるんだろうか?子供に何て言えばいいんだろう?子供が辛そうにしていたら、離婚して私の存在自体消してしまう方がいいんだろうか?…そういう気持ちもあります。

だからこの漫画を読んだ時、お母さんの気持ちが痛いほどわかりました。


障害者本人…卑屈に考えてはいけないってよく言われてきました。
でも、必ず行く先に壁があり難所があり、その度に躓いて悩んできました。

慎重になりすぎるのはよくない事なのかも知れませんが、自分が実際辛い経験をしてきたからこそ、自分の子供にまでそれを背負わせて良いのか?とも思います。

今の婚約者にそういう不安も話しました。


そしたら「一人で育てるんじゃないんだよ」そこに必ず僕も色んな人もいる。

母親として、どうにもならない壁に直面したら、例え我が子であっても僕たちで解決出来ないなら、周りの人に頼ったって良いじゃない?

母親として頑張ろうって思ったら、要らぬ考えまで追いつめてしまうよ。

あなたが障害者だって事は、あなたを助けてくれる人には百も承知な話だよ。

あなたが言わずとも、直面してる悩みを読み取ってるかも知れない。

その上で助けようって思ってくれたら、皆で一緒に悩めばいいんだよ。

人生の先輩にはたくさんの考えがあるかも知れないよ。…って言われました。


話はだいぶそれてしまいましたが…
この漫画で、交際相手側の反対について「そうだろうな」って思いました。

悲しい話ではありますが、仕方ない話とも思います。

こんにちは!

作者の愛本さんにしてやられましたね~^^

そのように、読者の側に疑問を呈したり怒らせたり考えて欲しいが為に、このような展開になっているのだと思いますよ。

藍本さんの漫画を通しで読んでみると、この人のエピソードの作り方には、わざと感動させてやろうというあざとさが、全くないんですね。

読者の方が、この少ない台詞の中から、「自分だったらどうなのか?漫画だから主人公に感情移入しているが、現実に自分の身に降りかかった問題だったら、そんなきれいごと言えるのか?」と考えさせる作り方になっています。

子を産むというのは、たとえが悪いかも知れませんが、ロシアンルーレットのようなところがあります。

何分の一かの確率で、どうしても上手く分裂できなかった受精卵、上手く引き継げなかったDNAがあります。

ですから、私は、他のお宅のお子さんがそうした障碍(この字を使うようにしています)をお持ちになっていても、他の子と同じように接します。

それは、誰かが必ずひかねばならないくじを、この人が引いてくれたからです。
そしてそれは、別段はずれという訳では無いのです。

みんな同じ。みんな命。

ひまわり、結局破談になりましたね。

感動の涙にはなりませんでした。

この展開に、やはり、10年近く障害をテーマに真摯に描いてきた、愛本さんの信念が見えてくるように思います。

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