2009年2月20日 (金)

橋下知事への公開質問状の回答が出ました!

1月20日に橋下知事あてに提出した『障がいのある子も、ない子も「共に学び、共に生きる教育」をもっと充実発展させるための公開質問状』に回答が出ました(2月20日付)。

取り急ぎ、私のコメントは抜きで、全文をそのまま紹介します。

こちらからの質問項目は青色、府の回答は黒色で表示しています。

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「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク
  代表  鈴木 留美子 様

大阪府教育委員会事務局
教育政策室総務企画課長

『障がいのある子も、ない子も「共に学び、共に生きる教育」をもっと充実発展させるための公開質問状』に対する文書回答について(送付)

平成21年1月20日付けで質問のありました標記については、別紙のとおりです。

問い合わせ先
大阪府教育委員会事務局
教育政策室総務企画課
広報・議事グループ 山井
電話06(6941)0351 内線3412
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(要望項目)

1 障害児・者を一般の学校教育や生活の場から切り離して、「分ける」ことをどのようにお考えでしょうか?

・障害者の「完全参加と平等」を唱えた国際障害者年から30年近くたつ現在も、特に「重度」といわれる障害児・者は、生活の場を施設や福祉的就労に限られがちで、社会参加の道を固く閉ざされています。その根底にあるのが、そもそも学校教育の場で、いまだに多くの障害児が、一般の子どもたちから切り離された「支援学校」(養護学校)、「支援学級」(養護学級)で学んでいることです。今後、どんなに重い障害があっても、地域で自立して生きられる社会を実現するには、まず障害児・者を「分ける」発想を変えなければならないと私たちは考えますが、知事の考えをお聞かせください。

2 障害児が地域の学校へ就学することをどのようにお考えでしょうか?

・大阪の教育現場では、重い障害のある子どもも校区の学校で受け入れ、障害のない子どもたちとともに学ぶ環境づくりが積極的に進められてきました。障害児が「支援学校」に就学すると、校区の学校に就学する場合の10倍の費用がかかることをご存知でしょうか。

・「支援学校」を地域のリソースセンターなどに縮小し、すべての子どもを地域の小・中・高等学校で受け入れるほうがより公平であり、対費用効果も優れていると思われませんでしょうか。また、政府が批准に向けて動いている、2006年12月に国連で採択された「障害者権利条約」が言うインクルーシヴ教育(誰も障害を理由として排除されない教育)の趣旨に適うものだと思われませんでしょうか。

・地域の小・中・高校で障害児が学びやすい環境を整えるよりも「支援学校」をより充実発展させる方がよいとお考えなら、その根拠をお示しください。

6 大阪の「共に学び、共に生きる教育」は現状で十分な領域に達しているとお考えでしょうか?

・多くの障害児が地域の学校であたりまえに学んでいることでは、大阪は“日本一”であるといわれています。そのことについて、これまで府と府教委が取り組まれてきた努力に対して、私たちは感謝しております。しかし、まだまだ課題はたくさんあると思います。今後、障害のある子もない子も、すべての子どもたちにとっての「共に学び、共に生きる教育」を充実発展させていくために、不十分な点や課題はどんなことだと思われますか? あわせて今後の方向性も明示ください。 

(回答)

○障がいがあるということを人間の多様な姿の一つとして捉え、それぞれの個性や価値観、生き方等の違いを認め合うという多様性を尊重する社会をめざしていかなければならないと考えます。

○障がいのある人が、一人の人間として尊重されるという当たり前のことを、社会の普通の姿として根付かせていくため、日常的な活動や社会参加等の取組みを障がいのない人と同等の水準に近づける不断の努力が求められています。

○大阪府においては、これまでから、すべての幼児児童生徒が「ともに学び、ともに育つ」教育を基本として、一人ひとりの障がいの状況に応じた教育を推進してきました。子どもたちには様々な個性があり、それぞれに目標や希望、課題等をもち、学校生活の中で障がいのあるなしにかかわらず、ともに活動することを通して成長することが重要であるとの認識のもと、地域での支援教育の充実を図るための取組みを進めてきたところです。

○大阪府では、障がいのある幼児児童生徒が、地域の小・中学校等へ就学することは、障がいのある幼児児童生徒と障がいのない幼児児童生徒との相互理解を推進するとともに、障がいのある幼児児童生徒の社会参加と自立に向けた主体的な取組みを支援する上でも、非常に重要であると考えています。

 障がいのある幼児児童生徒の就学については、府内小・中学校の98.3%に支援学級が設置されているなど、できるかぎり地域の学校で受け入れていくことを基本にすえています。

 また、支援学級に在籍していても、通常の学級で一緒に授業を受けるなど、可能な限り交流及び共同学習の機会をつくるよう努めているところです。

○府立高等学校では、障がいのある生徒の入学に対応できるよう、施設・設備面における整備や備品等についてもできる限り措置してまいりました。また、人的措置につきましても、それぞれの障がいの状況に応じ、非常勤講師の措置や、生活面における支援として、学校支援人材バンクを活用して、介助ボランティアや学習支援サポーターの措置に努めてまいりました。 

 また、知的障がいのある生徒の学習機会の充実を図るため、平成18年度から自立支援推進校及び共生推進校を制度化するなど、高等学校における「ともに学び、ともに育つ」教育の推進に取り組んでいるところです。

○支援学校については、知的障がいのある児童生徒数の増加や就労支援など多様化する教育的ニーズ等へのきめ細やかな対応をふまえた計画的な整備が必要であると考えています。

 また、改正学校教育法や新学習指導要領において、支援学校のセンター的機能が求められているところであり、地域の小・中学校、高等学校等への支援に大きな役割を果たしていかなければなりません。

○なお、教育予算については、その90%以上を人件費が占めており、法令に基づき設置される学級数に応じて教職員が配置されることから、児童生徒一人あたりに要する経費は、小・中学校及び高等学校に比べ支援学校の方が多額になっています。

○今後とも、大阪がこれまで培い推進してきた「ともに学び、ともに育つ」教育のより一層の充実に向け、各学校・市町村教育委員会とも連携しながら、子どもの将来の自立、就労をはじめとした社会参加への切実な思いを受けとめた教育や、周りの子どもの理解と認識を深める教育を推進してまいります。

○さらに、国に対しても、支援教育充実のための適切な人的配置等の条件整備を引き続き強く要望するなど、一人ひとりのニーズに沿ったよりきめ細やかな対応ができるよう、教育環境及び支援体制の充実に努めてまいります。

(回答部局課名)1・6 教育委員会事務局 教育振興室 支援教育課   2 教育委員会事務局 教育振興室 支援教育課 高等学校課  市町村教育室 小中学校課

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(要望項目)

3 「学力テスト日本一」になるために障害児が排除されている実態を把握されていますか?

・全国学力テストを実施する際、障害児のみに参加の意思を聞いたり、障害児の点数を合計得点からはずしたりするなど、障害児を排除している例が、府内の学校でも見られます。各市町村が学力テストの結果を較べ、点数を競い合うことになれば、ますます障害児の排除が進むことになると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

(回答)

○全国学力・学習状況調査は、文部科学省が策定した実施要領に基づいて実施されております。

○支援学校及び小中学校の支援学級に在籍している児童生徒の実施にあたっては、同実施要領の「3.調査の対象とする児童生徒」の(2)において、「特別支援学校及び小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒のうち,調査の対象となる教科について,以下に該当する児童生徒は,調査の対象としないことを原則とする。」とされており、「下学年の内容などに代替して指導を受けている児童生徒」「知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の教科の内容の指導を受けている児童生徒」は調査の対象としないことが原則となっております。

○しかし、同調査の「実施マニュアル」においては、個々の児童生徒が実施要領の定めに該当するかどうかについては、各学校において判断することとしており、加えて、一人ひとりの障がいの種類や程度に応じて、当該児童生徒に特別の配慮ができることも示されております。

○各学校におきましては、当該児童生徒及び保護者に対して、実施要領等の内容について詳しく説明した上で、本調査の実施について適切に判断しているものと認識しております。

(回答部局課名) 教育委員会事務局 市町村教育室 小中学校課

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(要望項目)

4 能力主義、競争主義、成果主義の教育から、子どもたちが目を輝かせて取り組む学習が生まれるでしょうか?

・習熟度別クラスや、百マス計算などの一斉反復学習、学習塾の講師を入れると言われている「夜スペ大阪版」の「まなび舎」事業では、障害のある子どもたちはどこに行けばよいのでしょうか。例えば3学級を4つの習熟度別クラスに分けた場合、障害児は「最下位」のクラスに入るのでしょうか、支援学級に入るのでしょうか。これでは障害児のみを分離する特殊教育に舞い戻ってしまうのではないでしょうか。

・(障害児だけではなく)子どもたちの間にますます格差が広がり、格差が固定されるのではないでしょうか。

・能力主義や競争主義の教育からは、子どもたちが目を輝かせて取り組む楽しい授業、学びあう授業、お互いにちがいを認め合い支えあう集団づくりは生まれないと私たちは考えます。とりわけ競争や成果主義になじまない障害児は、集団自体から排除される恐れがあります。知事はどのようにお考えでしょうか。

(回答)

○習熟度別学習は、基礎基本の定着をめざし、時間をかけて丁寧に学習することや発展課題に取り組み応用力を養うなど、学習集団により学習内容を工夫することで、より学習効果を図ることをめざすものです。また、百ます計算などの反復学習は、計算や漢字を10分ほどの短い時間を設定して毎日繰り返し学習することで、基礎学力の定着を図るものであり、学習習慣の定着・学習意欲の向上をねらいとして児童・生徒の学習をサポートするためのものです。

○また、「おおさか・まなび舎」事業は、学習習慣の定着・学習意欲の向上をねらいとして放課後自習室を開設し、教員と学習支援アドバイザーとの連携のもと、児童・生徒の自学自習力と学力の向上をめざすものです。東京都杉並区の和田中学校で実施されている「夜スペ」とは違い、学校が主体となり実施しており、児童・生徒は無料で、できる子もつまずいている子も両方の学力向上をめざすものです。

○これらの事業は、それぞれ、児童・生徒一人ひとりに応じたきめ細かな教育をめざすものであり、過度な競争や学力の序列化を助長するのではありません。現在、府教育委員会としましては、学習でつまずきのある子どもや、学習習慣がついていない子どもも含め、学ぶ意欲のある子どもたちすべての学力向上を推進できるよう努めているところです。

○今後も、各学校においてノーマライゼーションの理念の下、「ともに学び、ともに育つ」教育を基本とし、学びあう授業や互いにちがいを認め合い支え合う集団づくりをめざす教育を進めることとともに、学校教育全体を通じて、障がいに対する正しい理解と認識を深めていくことが重要であると考えております。

(回答部局課名)教育委員会事務局 市町村教育室 小中学校課

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(要望項目)

5 子どもたちが地域社会で、たくましく心豊かな人間に育つためには、何が必要でしょうか?

・障害児がともに学ぶ学級では、クラスの雰囲気がやさしくなることを、私たちは過去の経験から実感しています。それは、障害の有無を越えて日常的にふれあう中で、社会には多様な人々がいることや、困ったときにはあたりまえに手を差し伸べる支えあいの関係を自然と学ぶからです。「共に学び、共に生きる教育」を進めることが、点数だけでは計れない真の学びを保障し、子どもたちの豊かな人間性を育むことになると私たちは考えていますが、知事はどうお考えでしょうか?

(回答)

○府教育委員会といたしましては、ノーマライゼーションの理念に基づき、障がいのある人と障がいのない人が「ともに生きる社会」を築くため、幼少時から共に学び、ともに育つことの意義を踏まえ、一人ひとりの障がいの状況に応じた教育の推進に努めております。

○平成18年6月に指導資料「「ともに学び、ともに育つ」障害教育の充実のために」を作成し、府内の学校園に在籍する障がいのある児童・生徒に対する教育が一層充実するよう働きかけているところです。平成20年度、すべての小・中・高等学校において障がい者理解に係る取組が行われており、また、障がいのある児童・生徒の入学や入学後の学校生活でのきめ細かな支援などを行うため、保護者との連携や学校間の連携など継続的に取り組んでおります。

○このように地域の小・中・高等学校において推進してきた「ともに学び、ともに育つ」教育は、大阪の特徴であり、成果であると考えております。今後とも、障がいのある児童・生徒の社会参加と自立をめざし、教育環境の整備を図るとともに、障がいのある児童・生徒と障がいのない児童・生徒が、共に学ぶ機会の拡充を図ってまいります。

(回答部局課名)教育委員会事務局 教育振興室 高等学校課   市町村教育室 小中学校課

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(要望項目)

7 府と府教委が出されている施策やプランには、障害児は含まれていますか?

・真の「教育改革」は、障害児はもちろん、すべての子どもにとっての改革であることが大前提であると、私たちは考えています。もし障害児は別枠とお考えなら、その根拠をお示しください。

(回答)

○大阪府及び大阪府教育委員会では、ノーマライゼーションの理念のもと、すべての幼児児童生徒が「ともに学び、ともに育つ」ことを基本に教育を推進するとともに、障がいのある幼児児童生徒一人ひとりの多様なニーズに応じたきめ細かな教育を推進し、社会参加や社会的自立を支援することを、教育の基本方針のひとつにしています。

○大阪府総合計画「大阪の再生・元気倍増プラン」及びそのもとに策定された「将来ビジョン・大阪」や、「大阪の教育力」向上プラン等においても、この基本方針に基づく施策の方向性を示しており、今後とも、これらの計画に基づき、すべての子どもたちが「ともに学び、ともに生きる」教育を充実させ、「教育・日本一大阪」の実現に取り組んでまいります。

(回答部局課名)教育委員会事務局 教育政策室 総務企画課

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2009年2月10日 (火)

車いすに乗ったミュージシャン、浦野 健さんのごきげんライブ!

 「バンドのみんなは、オレのことを“障害者”と思っていないと思う。でも、できないこともあるから、そんな時はあたりまえに手伝ってくれる。それがありがたい」―そう語ったMCが印象的だった。

 2008年12月14日。大阪府高槻市のアジアンレストランで行われた、「URANO BAND(ウラノバンド)」のライブ。リーダーの浦野 健(うらの・つよし)さんは、脳性まひで手足の自由がきかず、言語障害もある、いわゆる“重度障害者”だ。

 僕は、URANO BANDの数年来のファンである。そのステージは、独特の迫力をもって、聴く者の心をわきたたせずにおかない。

 浦野さんが作る曲は、サビがはっきりと残る、80年代風のメロディアスなフォークロック。メインボーカルの女性が澄んだ声で歌うと、さわやかで心地よい。ところが、そこへ浦野さんが、“脳性まひ語”の発声で、とつとつとハモっていく。と、清らかさと荒々しさがぶつかりあって、ドキドキする高揚感が生まれてくるのだ。

 バックの演奏も同様で、キーボードとギターの端正な音色に、和太鼓をはじめとしたパーカッションの野性味たっぷりの響きがどくん、どくんとからみ、音の火花を散らす。

 異質なものどうしが渾然一体となって生み出される、鮮烈なエネルギー。この空間にひたっていると、魂の奥底に眠っている原初的な衝動が呼びさまされるようだ。

 バンドメンバーは、浦野さん以外は“健常者”。メンバーの間に流れる温かい空気が、観ていて気持ちいい。浦野さんのメロディメーカー、ライブアーティストとしてのセンスを、みんなが心から信頼していることが伝わってくる。そこには、障害があるとかないとかは関係なく、ただ、音楽好きどうしの熱い連帯感があるだけだ。

 ギタリストをつとめる熟年ミュージシャンは、こう語っていた。

 「健がステージに誘ってくれたおかげで、25年ぶりにギターを握った。僕たちが健を支えているんじゃなくて、健が僕たちを楽しませてくれているんです」

 高槻は、浦野さんが育ち、いまも暮らすホームグラウンド。この日のライブには、彼の音楽と人柄をこよなく愛する地元のファンがつめかけた。浦野さんを昔から見守ってきた中高年の人も多い。

 観客たちは、浦野さんがかます大ボケにツッコミを入れ、爆笑し、気迫のこもった唄に胸を震わせ、熱っぽく手拍子を鳴らす。浦野さんも好きなビールを飲みながら、テンションをどんどん上げていく―。

 音楽をなかだちにして、浦野さんは、どっしり地域で生きている。

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2009年1月22日 (木)

障害のある子どもを学校から排除しないで!橋下徹・大阪府知事に公開質問状

 橋下徹知事、あなたの“教育改革”は、障害のある子どもたちを学校から排除していくのではないか…?

 1月20日(火)、大阪府内の市民団体がネットワークを組んで、橋下知事あてに公開質問状を提出した。僕も賛同者のひとりとして行動に加わっている。

 ここ大阪では、30年以上前から、重い障害のある子どもも地域の一般の学校に受け入れ、障害のない子もある子も、ともに学びあう実践が積極的に進められてきた。

 子どものころから、“障害者”と“健常者”の生活の場を「分けない」こと。それが「ともに生きる社会」の原点であり、この「共に学び、共に生きる教育」では、大阪は日本一進んでいるといわれている。

 いま知事は“教育改革”として、点数主義、競争主義に立った政策を次々と打ち出している。このままでは、子どもたちどうしの関係づくりを基本にした「共に学び、共に生きる教育」が破壊されてしまうのではないか?

 そうした危機感から、大阪が日本で先駆けて取り組んできた豊かな教育の価値を、府民のみなさんにも、報道機関にも広く知っていただきたいと、あえて公開質問状という形で訴えることにした。

 質問状の内容を下記に載せるので、ぜひお読みいただきたい。そして、この取り組みを多くの人たちに伝えていただけるとうれしい。

(写真上)大阪府庁で公開質問状を提出。障害当事者、保護者、支援者の計46人が集まった

(写真中)質問状提出後の記者会見。障害当事者とその親が、自分たちの体験を通して「共に学び、共に生きる教育」の意義を訴えた

(写真下)公開質問状提出を報道する毎日新聞の記事(2009.1.21付)

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2009年1月20日

大阪府知事 橋下 徹 様

「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク
(構成団体) 知的障害者を普通高校へ北河内連絡会
                 「障がい」のある子どもの教育を考える北摂連絡会
                  障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議
        高校問題を考える大阪連絡会 等 122団体
           代表:鈴木 留美子

障害のある子も、ない子も「共に学び、共に生きる教育」を
もっと充実発展させるための公開質問状

 橋下知事は就任以来教育に大きな関心を持たれ、発言されてきました。次々に打ち出される施策やプランを読むうちに、私たちは次第に不安を感じるようになりました。成果主義・競争主義に立った教育の中に、障害者もきちんと入っているのだろうか?知事のお考えの中には障害児・者は最初からイメージされていないのではないかという疑問です。このままでは能力主義の教育が推し進められ、大阪の進めてきた「共に学び、共に生きる教育」が否定されていくのではないかと思うのです。実際、府民討論会(2008年10月26日)の場で知事が明確に否定されたにもかかわらず、「全国学力テストから障害児を排除している実態」が私たちの耳に届いています。
 これまで多くの府民の要望にこたえ、大阪府と大阪府教育委員会は障害のある子もない子も、地域の公立学校で共に学びあい、育ちあう教育に誠実に取り組まれてきました。私たちは、大阪が全国に先駆けて取り組んできた「共に学び、共に生きる教育」は、これからの社会や時代を創造するための教育の原点であり、かつ目標となるべきものと考えております。障害児が「明日も行きたい!」と思える学校は、だれにとっても学ぶことが楽しく、暮らしやすい学校です。そんな学校こそが「学力日本一」を超えた真の「日本一」、いや「世界一」の魅力ある公立学校ではないでしょうか。
 私たちはこの「共に学び、共に生きる教育」をさらに充実発展させていくことこそが、「大阪の教育日本一」を実現する大きな柱になると確信しています。

 私たちは以上のように考え、知事の協力も得ながら「共に学び、共に生きる教育」を未来に生かし、伸ばしたいという思いから、以下の通り質問いたします。誠実にお答えいただきたくお願い申し上げます。
 なお、回答は文書にて2月20日までにいただけますようお願い申し上げます。

質問事項

1.障害児・者を一般の学校教育や生活の場から切り離して、「分ける」ことをどのようにお考えでしょうか?

・障害者の「完全参加と平等」を唱えた国際障害者年から30年近くたつ現在も、特に「重度」といわれる障害児・者は、生活の場を施設や福祉的就労に限られがちで、社会参加の道を固く閉ざされています。その根底にあるのが、そもそも学校教育の場で、いまだに多くの障害児が、一般の子どもたちから切り離された「支援学校」(養護学校)、「支援学級」(養護学級)で学んでいることです。今後、どんなに重い障害があっても、地域で自立して生きられる社会を実現するには、まず障害児・者を「分ける」発想を変えなければならないと私たちは考えますが、知事の考えをお聞かせください。

2.障害児が地域の学校へ就学することをどのようにお考えでしょうか?

・大阪の教育現場では、重い障害のある子どもも校区の学校で受け入れ、障害のない子どもたちとともに学ぶ環境づくりが積極的に進められてきました。障害児が「支援学校」に就学すると、校区の学校に就学する場合の10倍の費用がかかることをご存知でしょうか。

・ 「支援学校」を地域のリソースセンターなどに縮小し、すべての子どもを地域の小・中・高等学校で受け入れるほうがより公平であり、対費用効果も優れていると思われませんでしょうか。また、政府が批准に向けて動いている、2006年12月に国連で採択された「障害者権利条約」が言うインクルーシヴ教育(誰も障害を理由として排除されない教育)の趣旨に適うものだと思われませんでしょうか。

・地域の小・中・高校で障害児が学びやすい環境を整えるよりも「支援学校」をより充実発展させる方がよいとお考えなら、その根拠をお示しください。

3.「学力テスト日本一」になるために障害児が排除されている実態を把握されていますか?

・全国学力テストを実施する際、障害児のみに参加の意思を聞いたり、障害児の点数を合計得点からはずしたりするなど、障害児を排除している例が、府内の学校でも見られます。各市町村が学力テストの結果を較べ、点数を競い合うことになれば、ますます障害児の排除が進むことになると思いますが、どのようにお考えでしょうか。

4.能力主義、競争主義、成果主義の教育から、子どもたちが目を輝かせて取り組む学習が生まれるでしょうか?

・習熟度別クラスや、百マス計算などの一斉反復学習、学習塾の講師を入れると言われている「夜スペ大阪版」の「まなび舎」事業では、障害のある子どもたちはどこに行けばよいのでしょうか。例えば3学級を4つの習熟度別クラスに分けた場合、障害児は「最下位」のクラスに入るのでしょうか、支援学級に入るのでしょうか。これでは障害児のみを分離する特殊教育に舞い戻ってしまうのではないでしょうか。

・ (障害児だけではなく)子どもたちの間にますます格差が広がり、格差が固定されるのではないでしょうか。

・能力主義や競争主義の教育からは、子どもたちが目を輝かせて取り組む楽しい授業、学びあう授業、お互いにちがいを認め合い支えあう集団づくりは生まれないと私たちは考えます。とりわけ競争や成果主義になじまない障害児は、集団自体から排除される恐れがあります。知事はどのようにお考えでしょうか。

5.子どもたちが地域社会で、たくましく心豊かな人間に育つためには、何が必要でしょうか?

・障害児がともに学ぶ学級では、クラスの雰囲気がやさしくなることを、私たちは過去の経験から実感しています。それは、障害の有無を越えて日常的にふれあう中で、社会には多様な人々がいることや、困ったときにはあたりまえに手を差し伸べる支えあいの関係を自然と学ぶからです。「共に学び、共に生きる教育」を進めることが、点数だけでは計れない真の学びを保障し、子どもたちの豊かな人間性を育むことになると私たちは考えていますが、知事はどうお考えでしょうか?

6.大阪の「共に学び、共に生きる教育」は現状で十分な領域に達しているとお考えでしょうか?

・多くの障害児が地域の学校であたりまえに学んでいることでは、大阪は“日本一”であるといわれています。そのことについて、これまで府と府教委が取り組まれてきた努力に対して、私たちは感謝しております。しかし、まだまだ課題はたくさんあると思います。今後、障害のある子もない子も、すべての子どもたちにとっての「共に学び、共に生きる教育」を充実発展させていくために、不十分な点や課題はどんなことだと思われますか? あわせて今後の方向性も明示ください。 

7.府と府教委が出されている施策やプランには、障害児は含まれていますか?

・真の「教育改革」は、障害児はもちろん、すべての子どもにとっての改革であることが大前提であると、私たちは考えています。もし障害児は別枠とお考えなら、その根拠をお示しください。

(付記)
※以上の点についてわかりにくい点や疑問がございましたら、以下までお問い合わせください。
連絡先:「知的障害者を普通高校へ北河内連絡会」事務局 松森 俊尚(まつもり・としひさ)
TEL:090-1960-3469 Email:matumori@crux.ocn.ne.jp

※この質問状と御回答は、マスコミ各社ほか報道関係者、および賛同団体のホームページで公開いたします。

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2008年12月12日 (金)

橋下徹知事の暴挙~納得できない! 非正規職員のクビ切り~

 「去年の今ごろは、何の心配もなく、クリスマスの季節を楽しんでいたのに…」

 大阪府庁の玄関前で座り込みながら、勤続6年目の非正規職員の女性は、冬空を見上げてくちびるをかみしめた。

 前回に引き続き、大阪府立高校の非正規職員の解雇問題について書く。

 346人の非正規職員は、 学期ごと契約のパート職だが、自然に10~30年と更新を続けて働いてきた人も多い。それが今年になって、いきなり来年度からのクビ切り通告。生きる糧を奪われ、その後の生活保障は全くない。 

 この問題を12月府議会で取り上げてもらおうと、非正規職員と支援者たちは、9日・10日の2日間、府庁前で座り込み抗議行動を行った。民間企業で派遣切りにあっている人、障害者雇用の拡充を求めて運動している人も合流した。

 10日の行動を取材した。冒頭の勤続6年目の女性は、しみいる寒さに身を震わせながら、こう語ってくれた。

 「教育の一端を担っているという思いで必死に働いてきたのに、府の姿勢は、人としての尊厳を無視する行為です。非正規職員は40~50代の男性が多く、シングルマザーで、この収入だけで生計を立てている人もいます。そうした人たちにとっては死活問題。この不況下で、新しい仕事が見つかるでしょうか? 再就職のあっせんもせず、何の責任もとらずにクビにするなんて、許されることではありません」

 理科の実験助手を担当し、教師とともに生徒の指導にあたっている彼女。「実験を通して生きた授業を行い、生徒たちが喜ぶ顔を見られるのがうれしい。この仕事が好きで、この仕事しかないと思って続けてきました」と、熱っぽく語る。

 こんな意欲をもった人材を、なぜ辞めさせなければならないのか。

 今回の解雇が強行された場合、府立高校で現役職員がクビを切られる初のケースになるという。非正規雇用の人たちの労働環境が社会的問題となり、国をあげて改善に取り組まなければならないこの時期に、自治体が率先して非正規職員を切り捨てるとは、非常識のきわみだ。

 “府民の声”をすぐ引き合いに出す橋下徹知事。僕は大阪府民として、今回の暴挙に「NO!」と言う。同じく府民のあなたは、どうだろうか。

*(写真上・中)府庁前座り込み行動に参加した非正規職員と支援者たち

*(写真下)「河内谷さんとともに視覚障害者の雇用を実現する会」の河内谷 収さんも行動に参加した 

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2008年12月10日 (水)

橋下徹知事の暴挙~子どもの教育環境より、イルミネーションが大事か~

 このプログのテーマから少しそれるが、あまりに腹立たしいので書く。橋下徹・大阪府知事が教育現場に行おうとしている暴挙についてだ。

 橋下知事は、府立高校で働く「非正規職員」の全員解雇を打ち出している。一般にあまり知られていない事実だが、大阪の府立高校では、各校に2~3人の非正規雇用の職員が配置されている。府全体で、その数346人。

 来年度から、この制度を廃止するのが知事の方針だ。理由は財政難だからだという。しかし、346人が学校から去れば、子どもたちの教育環境は確実に悪化する。

 そもそも非正規職員の制度は、府立高校の人手不足に対応するためにつくられたもの。その職種は、授業で使う教材・プリントの印刷要員だったり、理科の実験や家庭科の実習のアシスタントだったりと、さまざまなのだが、いずれも、教師の仕事を後方支援している貴重な戦力だ。

 いまの忙しい学校現場で、教師は、非正規職員の支援があってこそ、生徒たちと向かい合う余裕を何とか確保できている。生活上の深刻な課題を抱えた生徒が多い高校では、非正規職員が生徒たちの相談に乗り、教師とともに必死で学校生活を支えているケースもある。

 「教育日本一」をめざすといいながら、教育体制を支えるスタッフを切り捨てる理由がわからない。非正規職員が去った後、残る膨大な作業負担にどう対応するか、その策も見えない。知事とともに、これから学校現場はさまざまな新しい試みにチャレンジしていかなければならないのに、そのための足腰を弱めてどうするのか。

 財政難だからやむを得ないという。しかし、来年度以降に知事が実施しようとしている「御堂筋イルミネーション」の事業費は、10~20億円と見込まれている。これに対して、346人の非正規職員を雇うのに必要な費用は、年間約5億円にすぎない。イルミネーションの規模を縮小するだけでも、十分まかなえるはずだ。

 昨日(12月8日)、イルミネーションの実証実験が始まり、御堂筋のイチョウ並木22本に華々しく灯がともった(この実験だけでも、3746万5000円の予算が計上)。この場で、非正規職員と支援者は抗議行動を行った。通りすがる人にビラを配り、税金の使い方のおかしさを声をからして訴える。

 視察に現れた橋下知事は、その姿を一顧だにせず、イルミネーションの意義を報道陣に得々と語っていた。彼にとっては、子どもたちの教育環境を守ることよりも、イチョウの木を光で飾りたてる方が大事らしい。どちらが大事かは、議論するまでもなく、誰にでもわかる結論だと思うのだが。

 そしてマスコミもまた、抗議行動をしている人たちの話を聴こうともしない。知事の周りに群がってコメントを取り続ける。翌日の朝刊は、実証実験の礼賛の嵐だった。両論併記が客観報道の原則だったはずだが…。346人がこのまま解雇されて、学校現場が荒廃してしまったとき、あんたら、責任とれるのか。

 非正規職員と支援者は、9日(火)・10日(水)、府庁前で座り込み抗議行動を実行中。より詳しく知りたい方は、下記ブログを参照してください。 http://yatoidome.blog44.fc2.com/

*写真は、当日の抗議行動の風景。寒風が吹きすさぶなか、華々しいイルミネーションの下で、非正規職員と支援者たちは解雇の不当さを訴え続けた。

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2008年8月25日 (月)

橋下“教育改革”にNO!

 地域の学校から、障害のある子どもが排除される!?

 橋下知事が「教育日本一」と大見得を切る、大阪府の“教育改革”。その内容に、障害のある子どもの教育にかかわる市民団体が抗議の声をあげている。

 何が問題なのか? 「教育日本一」施策の主な内容はこんなものだ。

 ●習熟度別指導の充実 

 →小学校の3年生以上で国語・算数に、中学校の全学年で国語・数学・英語に習熟度別の授業を導入する。

 ●おおさか・まなび舎(や)事業 

 →小・中学校において退職教員、大学生、学習塾の講師などを学習アドバイザーとして活用し、放課後に無料で参加できる学習機会を提供する市町村を支援する。

 ※東京都の杉並区立和田中学が進学塾と提携して行っている特別授業「夜スペシャル(夜スペ)」がモデルといわれる。

 これを見て、どう思われるだろうか? 小学校3年生から、子どもを学力によって振り分けようという。公教育の場に、学習塾の講師が堂々と入ってくるという。

 学校は、ただ学力を伸ばすだけでなく、友だちとつきあうなかで生きかたを学ぶ「生活の場」であるはずだ。そこに、学力主義があからさまに持ちこまれようとしている。公立学校の「学習塾化」といっていいだろう。

 ヒートアップする知事人気のなかで、こんな大きな方向転換が、府民もほとんど知らないままに強行されようとしているのだ。

 これに危機感を感じて声をあげたのが、知的障害者を普通高校へ北河内連絡会、「障がい」のある子どもの教育を考える北摂連絡会、障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議、高校問題を考える大阪連絡会、の4団体。

 能力主義で子どもたちを振り分ける発想は、障害のある子どもたちを学校からはじき出してしまう。これでは、大阪で1970年代から取り組まれてきた、障害のある子もない子も同じ環境で学びあい、育ちあう「共に学び、共に生きる教育」が否定される─。

 という思いから、4団体は「教育日本一」施策に抗議する要望書をまとめ、知事に声を届けようとしている。タイトルは『「共に学び、共に生きる教育』日本一の大阪に!』。日本一をめざすのなら、学力日本一よりも、共生共育の豊かさで日本一になろうよ、という思いをこめたものだ。

 この要望書について詳しくは、運動の中心を担う寝屋川市の小学校教員、松森俊尚さんのホームページを見てほしい。http://www15.ocn.ne.jp/~gakimon/index.html

 4団体の主張には、必ずしも賛成する人ばかりではないだろう。ただ、障害のある子どもとかかわりない立場からも、大阪府民の方は考えてみてほしい。小学3年生という幼いころから、テストの点数で子どもたちが振り分けられることがはたして良いことなのかを。

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2008年8月11日 (月)

手話は演出の道具ではない

 やった人は、美しい心からしたのだ。でも、美しい心だからこそ問題だと思うので、あえて書く。

 いいたいのは、「手話」が舞台演出のアイテムにされる不愉快さだ。

 先日、僕が参加したあるイベント。講演の合間にギターの弾き語りがあるという形式のもので、始まりから終わりまで、ずっと手話通訳はついていなかった。

 ところが、ラストの曲になって、舞台に手話コーラスをする人たちが登場し、歌詞を手話で表現しながら踊りはじめた。それで“感動”のエンディングとなった。

 場内のほとんどの人たちは、素直に感動していたと思う。イベントの主催者は「手話の豊かな表現を感じてほしい」みたいなことをいっていた。

 しかし、これは聴覚障害のある人をバカにしていないか。

 確かに、手話は豊かなパフォーマンスの魅力を持っているが、それ以前に、ろう者の独特の言語であり、大切なコミュニケーション手段だ。

 講演に手話通訳をつけないのは、意識しようがしまいが、耳の聞こえない人には聴いてもらわなくていいという姿勢の現れだ。つまり、聴覚障害のある人たちとのコミュニケーションを拒否していることになる。

 参加を拒んでおきながら、その相手の言語を、舞台を盛り上げるアイテムとしてちゃっかり活用する。とても失礼なことだと思うのだが、どうだろうか。

 ところが、実は失礼なことなのに、手話を使うと、優しく美しいことをしているかのようなムードになる。また、演じている本人たちも、そう信じこんでいるのが悩ましい。

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2008年8月 6日 (水)

たかが障害、されど障害

 家族に“障害者”がいるのは、世間からはすごく不幸なイメージに映るようだ。

 妻が障害があると告げると、たいていの人が(あぁ、悪いことを聞いてしまった…)と暗く深刻な顔をして、落ち着かない態度になる。まるでお通夜の席みたいに。

 でも、そんなに悲惨な毎日を送っているわけじゃない。“障害者”がいない家庭につらいことや悲しいことがないかといえば、そんなわけはないはずで、僕たちだって同じ。あたりまえに笑って、あたりまえに悩んで暮らしているだけだ。

 とはいえ、一方で「そんなの、誰にだってあることだよー」とか、「気持ちの持ちようで治るんじゃない」などとはげまされると、いや、そんなもんじゃないんだ、簡単にどうにもならないから障害なんだよ、とちょっと腹が立ったりする。

 不幸に見られるのもイヤだし、軽く受け止められるのにも抵抗がある。人の気持ちは勝手ということなのだろうか。

 ただ僕としては、ヘンな先入観を押しつけず、ありのままを見てもらえたら、とてもうれしい。

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2008年8月 3日 (日)

価値観やスピードがちがうからこそ

 前回、「次回に続く」といいながら、今日は別の話題。

 僕はいま、障害のある子もない子もいっしょに育ちあう「ともに学び、ともに生きる教育」に興味を持って取材を続けている。

 これに関連してグッ!とくる文章に出会ったので、紹介したい。(今日は、人のふんどしで相撲をとってラクしようというわけです。)

 著者は田村太郎さん(多文化共生センター大阪・代表理事)といって、障害者分野ではなく、在住外国人の分野で共生社会づくりに取り組んできた方である。

 日本の教育がたどってきた道程にも、なにか問題はないのでしょうか。日本の教育自身には、問題はないのでしょうか。日本語のわからない子どもが一人やってきただけでも、十分に向かいあうことのできない教育って、何なのでしょうか。新しい視点から教育を見直す大切なきっかけをくれている外国人の子どもたちから、私たちはもっと学ぶことがあるのではないでしょうか。

 同じ価値観や同じ考えの人とだけつきあっているのは楽です。同じスピードの人とだけ仕事をするのは楽です。しかし、見落としてしまうこともたくさんあります。自分と異なる考えを持つからといって排除したり、スピードがちがうからといって議論することをやめてしまっては、その社会や地域は衰退していくでしょう。

~『多民族共生社会ニッポンとボランティア活動』(明石書店)~

 これは外国人の子どもが日本の学校で受け入れられにくいことに関して述べた文章で、この指摘は、「ともに学び、ともに生きる教育」が求める理想とぴったり一致する。

 僕は先日、行政のパンフレットの仕事で田村さんに取材させていただいたが、「これからは未来をつくる世代の子どもたちへの啓発に力を入れていきたい」とおっしゃっていた。

 障害のある人たちの運動も、こうした他のマイノリティの分野の人たちともうまくつながっていけたら、もっと大きな力になるのではないだろうか。

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2008年7月26日 (土)

もっと身近に、医療的ケア(1)

  いま日本には、呼吸を助ける機械=「人工呼吸器」を使いながら、在宅で生活している人たちが1万人以上いる。

 数年前まで、僕はそうした人たちの存在を知らなかった。みなさんは、どうだろう。人工呼吸器をつけた人に会ったことがあるだろうか。

 会ったことがないとすれば…それは、彼らの多くが自由に外出するのも難しく、一日中、家のベッドに寝たままの状態におかれているためだ。

 重度の障害のある人の地域自立が進むなかで、人工呼吸器を使っている人たちについては、社会の理解もサポート体制もまだまだ遅れている。地域であたりまえに暮らしたいという願いが、なかなかかなわない。

 そんな人工呼吸器ユーザーの自立生活を支えるのになくてはならないのが、「医療的ケア」と呼ばれる介助だ。

 医療的ケアに対するみんなの理解をもっと広げよう─。7月20日(日)、『医療的ケア講習会』が豊中市の障害福祉センターひまわりで開かれた(主催:特定非営利活動法人で・あ・い、「障害」児・者の生活と進路を考える会)。

 講師を担当したのは、池田市の折田涼さんが代表を務める「医療的ケア連絡協議会」。

 折田さんは、ウェルドニッヒ・ホフマン病のため、幼いころから人工呼吸器をつけて暮らす。手足が動かせず、ことばも発することができない重度の障害があるが、地域の小・中学校、大阪府立の普通高校に通い、この春に卒業した。

 (次回に続く。写真は、自分の生活について講演する折田涼さん)Iryouteki_009_5 Iryouteki_013

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«車いすは“想定外”?